パッド印刷の見当ずれを記録して確認先へ伝える方法

印刷の基準見本、位置と方向、相談先を順に示す3欄の説明図 生産・品質管理

パッド印刷の見当ずれは、基準・向き・比較した位置を一緒に伝える

「印刷が少し右にずれた」と伝えても、相手が品物を逆向きに持てば、指している場所が変わってしまいます。見当ずれとは、印刷位置や複数の色・図柄の位置関係が基準と合わない状態のことです。そこで相談の記録では、比較する基準、見る向き、違いがある位置を一緒に残しましょう。まず同じ場所を見られるようにすることが、原因を調べる出発点になります。

ここで扱うのは、特殊印刷のうちパッド印刷です。ナビタスマシナリーは、凹版上のインキをシリコンパッドへ移し、そのパッドから対象物へ転写する方式と説明しています。版、パッド、製品を位置決めする治具には、それぞれ識別番号を残します。同じ品番を印刷していても、使用した物の組合せが違う可能性があるためです。方式の説明から今回の原因や調整方法まで決めることはできません。ナビタスマシナリー:パッド印刷とは

準備するのは、現在有効な見本と識別番号

最初に用意するのは、製品の品番、図面・印刷データの版、現在有効な承認見本、使用した版と治具の番号です。「前回と同じ」という記憶だけに頼らず、実物と作業記録から番号をたどります。数値で比較するなら、測定箇所・基準・方法も所定の手順へ照らしてください。以下の表は情報を結ぶ例であり、位置の許容差や機械の調整値を定めるものではありません。

記録するまとまり架空例記録からたどること
対象物P-21/成形ロットM-0922どの製品を印刷したか
印刷基準図柄D-21・4版/見本S-12・2版現在有効な内容と比較したか
使った物版PL-18/治具JG-09/パッドPD-03使用した組合せは何か
印刷・点検の範囲作業番号W-22/10:00~10:20の品どこまでが相談対象か
証拠と相談先現物F-01、写真PH-01/品質担当誰が何を見て判断するか

表の番号が分からない場合は、推測した番号で埋めず「不明・保管棚B」のように、今分かる所在を残して管理担当へ照会します。不明のままなら、どの実物を使ったかが判明するまでの扱いも責任者へつなげましょう。また、写真を外部へ渡す際は、取引先名や図面全体の写り込みを見て、社内ルールに沿った提供範囲と方法を選びます。

架空例:見る向きと位置の名前をそろえる

では、見る向きをどのように書けばよいでしょうか。次は説明用の架空例です。製品の切欠きを上にした正面を基準面に決め、社内の測定手順に従って、図柄の指定位置と基準線の差を記録しました。右・左や正負の方向は、この記録内での定義です。他製品へも共通する決まりとせず、対象ごとの基準面と目印を添えてください。

現物ID比較した位置測定結果条件・状態
F-01ロゴ左端の指定点基準に対して右へ0.3mm切欠きが上、測定手順K-02、合否判定待ち
F-02同じ指定点基準に対して右へ0.2mmF-01と同じ向き・方法、判定待ち
F-032色の指定した交点写真上で位置差が見える、数値未測定写真PH-03を添付。寸法値は推定しない

表の0.3mmは位置の差を表す値であり、それだけでは合否は決まりません。判定は承認された基準と照らして行います。また、F-01の測定値を、数値を測っていないF-03へ当てはめることもできません。写真の画面幅から寸法を推定せず、未測定ならその状態を残しましょう。数値がなくても、見る向き・対象位置・現物番号があれば、担当者は何を測るかを検討できます。

相談用の記録を作る5つの手順

  1. 検査担当が対象を特定する。製品・ロット・作業番号と、発見した時刻を記録します。発見時刻と印刷した時刻が違う場合は両方を分けます。
  2. 有効な基準を照合する。図柄、承認見本、図面の版を照合します。旧版と比べていた場合は元の結果を保存し、対象品に適用する承認済み基準で点検し直す対象と範囲を責任者へ相談します。
  3. 位置の表現をそろえる。見る面、上下の目印、比較箇所を言葉と簡単な図で示します。複数色なら「製品に対する位置」と「色同士の位置」を分け、どちらの差を見たのかを書きます。
  4. 点検した範囲と結果を残す。例えば点検した10個のうち3個を相談対象としたなら、10個・3個と書きます。「全数ずれ」と広げず、未点検の範囲と現在の扱いも残します。
  5. 判断できる担当者へ渡す。対象現物、基準の版、使用物の番号、結果、不明な点を渡します。処置や再点検の指示を受けたら回答者・日時・対象範囲を追記し、実施結果と解除の判断は別に残します。

この5つは記録を作る順序で、報告や初動を最後まで待たせる順序ではありません。所定の保留・停止・連絡を優先し、最初は対象と分かっている事実を伝えます。不足欄は調べる担当を付けて追記してください。記録のために設備を動かし直したり、無断で条件を調整して現象を再現したりせず、実施の可否と方法は所定の権限者へつなげます。

原因の候補と、実際に見たことを分ける

相談時の表現記録し直した例保留する判断
治具が悪い治具JG-09を使用。F-01で位置差を観察治具が原因かどうか
版交換から全部ずれている版PL-18へ変更した記録あり。交換後に点検した10個中3個を相談交換直後から全製品に出ていたか
写真では問題ない写真PH-04は向きが不明。現物と基準を照合する写真だけでの合否
前回も同じだった前回の作業番号と基準版は未照合同じ条件の再発かどうか

上の表では「治具が悪い」という原因の断定を、使用番号と観察した位置差へ戻しています。同じような差に見えても、製品、基準の版、使用物の組合せが違えば、比較の前提も変わります。まず何を見たのかを残し、原因の候補は別に記してください。担当者が元の現物や記録へ戻れる形なら、どこから追加で調べるかを話し合えます。

まとめと参照した一次資料

相談前に、基準の版、見る向き、比較位置、使用した版・治具、現物番号が対応しているかをたどってみましょう。測定済みの値と未測定の印象を分ければ、担当者へ渡す情報と、まだ判断できない点が見えてきます。合否や処置、機械調整、再開の許可はそれぞれ所定の手順へつなげます。この記事の記録表と手順は、相談を進めるための編集部の運用提案です。

現物と写真の結び方に迷う場合は検査写真に添える記録、担当ごとに比較基準が違う場合は検査基準をそろえる方法も参考にしてください。今回どの情報が足りなかったかを手掛かりに、次の記録へ加える欄を選べます。

印刷の困りごとに合う記録方法を探す

硬いプラスチック・金属部品への印刷では、位置の違い以外にも、剥がれや文字のかすれなどで相談が始まることがあります。次の一覧から近い現象を選び、現物と一緒にどの記録を残すかを見てください。現象が似ているだけで原因を決めず、その記事に示す比較対象をたどるための入口として使えます。

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