製品塗装の色違いをロットと基準見本で追う記録

塗料ロット、製品ロット、基準見本を対応させる記録の図解 生産・品質管理

製品塗装の色違いは、塗料ロット・製品ロット・基準見本をつなぐ

「前回より色が薄い」と相談されたら、まず、どの製品を何の見本と比べたのかを聞きます。塗料のロットが違うという理由だけでは、見え方が変わった原因までは分からないためです。工場で製品へ行う塗装では、使った塗料と製品のロットを結び、比較した基準見本の番号・版も残しましょう。材料をたどる情報と、色を比較する前提を一緒に担当者へ渡せます。

この記事は、品質担当や塗料メーカーへ相談する際の記録例です。履歴と比較条件をたどれるようにすることが目的で、色違いの原因診断や、塗装条件・配合の決定は扱いません。建築物の塗替えなどへそのまま使うものでもありません。自社の製品と所定の検査に合わせ、何を記録するかを考える材料としてお読みください。

見え方の違いと、ロットの違いを混ぜない

同じ品物でも、見る環境によって色が違って見える場合があります。コニカミノルタは、ある照明では一致する色が別の照明では異なって見えることや、光沢・表面状態も見え方へ関わることを説明しています。そのため、相談票には「照明の違う場所で見た」という経緯も残します。ただし、環境の違いを記録しただけで、今回の原因が光源や光沢だと決まるわけではありません。色差に関する公式FAQ、Color and gloss

比較する条件は、顧客との取り決め、承認済みの検査基準、機器の説明へ照らします。記事から照明の種類や測色方式、色差の許容値を独自に選ぶのではなく、今使うべき条件を品質担当と合わせてください。次の表では、材料・作業・見本をたどる資料と、その資料を持つ担当を対応させています。

準備するもの架空の記録例資料を持つ担当
製品と素材の識別P-30/素材ロットB-10製造・受入担当
塗料の識別塗料CP-A/メーカー表示ロットC-101塗装担当
作業との関係塗装作業W-01/製品ロットF-01製造管理担当
基準見本・検査基準見本S-07・3版/検査基準Q-05品質担当
比較条件指定の観察場所、面・向き、観察方法品質担当

架空例:同じ塗料ロットで2つの製品ロットを塗装した

次は、管理番号のつなぎ方を示す架空例です。同じ塗料C-101を使った作業が2件あり、製品ロットはF-01とF-02に分かれています。1件の作業を1行として残すと、どの製品へ使ったかをたどれます。出荷先が分かれる場合は、作業行を複写して数量を増やさず、別の出荷記録と対応させます。

作業番号塗料ロット製品ロット・塗装数比較見本結果の記録
W-01C-101F-01/120個S-07・3版所定検査の記録K-01を参照
W-02C-101F-02/80個S-07・3版相談票Q-02、点検範囲20個中2個
W-03C-102F-03/100個S-07・3版所定検査の記録K-03を参照

F-02で相談が出たら、表から同じ塗料を使ったF-01の履歴へ進めます。この2ロットは合わせて200個ですが、使用履歴が同じことと、全数が不良であることは別です。調査する候補範囲と、実際に検査して判定した範囲を分けてください。また、F-03は塗料ロットが違うものの、それだけで問題がないとはいえません。どの範囲を調べるかは、ほかの作業条件も含めて品質担当が判断します。

途中で塗料ロットを追加・変更したなら、両方のロットと対応が分かる製品の範囲を残します。切替時点が不明なときに、作業数量を都合よく二等分して割り当ててはいけません。「対応範囲が未判明」として調べる担当へ渡し、対象品の暫定的な扱いも指示を受けます。配合や希釈などは既存の作業条件票へ結び、相談票への記入を条件変更の許可にしないようにしましょう。

比較記録は、見た場所と使った見本を残す

比較結果を残すときは、最初にどう見えたかと、その後に指定条件で検査した結果を分けます。例えば出荷場での申告を消して合否だけにすると、なぜ相談が始まったのかが分からなくなるためです。品質担当が後から調べた条件と結果を別欄へ追記し、元の現物と対応させます。次の表は、その経過を追うための書き分けです。

記録する段階記入例読み方
最初の申告9:20、出荷場でF-02の現物2個が見本と違って見えた申告時の見え方。合否未確定
条件の照合見本S-07・3版、対象面と向き、指定場所を品質担当が照合比較する前提の照合結果
所定条件での再検査記録現物ID01・02、検査記録K-04、判定者・日時元の2個と結果が対応する
測色した場合測定機ID、測定条件、測定箇所、結果ファイル番号違う条件の数値を混ぜない

写真は、どの現物をどこで比べたかを伝える補助として使えます。一方、撮影や画面の表示条件が異なる画像だけから、製品の色差値や合否を確定することはできません。現物と見本の番号を一緒に写すなど、対象をたどれる形で残しましょう。そのうえで、所定の観察・測定結果と写真を結び、画像の印象だけが判定として伝わらないようにします。

担当者が順番に記録する5つの手順

  1. 塗装担当が材料と作業を結ぶ。塗料名・ロット、作業番号、対象製品ロットを既存の作業記録へ残します。
  2. 発見者が現物と状況を伝える。発見時刻、見た場所、比較対象、実際に見た個数を記録します。所定の連絡を先に行い、原因の推測は事実と別欄へ残します。
  3. 品質担当が適用基準を照合する。見本の版や状態、顧客との取り決め、観察・測定条件を照合します。条件が足りない場合は、判定を進めず不足点を残します。
  4. 管理担当が関連する履歴を集める。同じ材料や作業を使った製品、残品、出荷記録を探します。調査対象の一覧と、不良判定の一覧を分けます。
  5. 回答と処置を追記する。誰がどの範囲を調べ、何を指示したかを残します。未検査品の扱い、出荷の可否、再加工などは所定の権限者が判断し、実施結果と解除の判断を別に記録します。

判断を保留する場合とまとめ

見本の版が不明、相手と自社で照明条件が違う、塗料と製品の対応が途中から分からない、といった場合は、不足情報と照会する担当を残します。同じ色番号だから合格、ロットが違うから原因が確定した、という結論へ飛ばないようにしましょう。また、上の手順は記録の流れであり、記入完了まで連絡を待つものではありません。所定の保留・連絡を先に進め、指示と実際の処置、解除の判断を区別して追記します。

まずは相談になった現物から、塗料・作業・製品の対応と、比較した見本をたどってみてください。観察環境から見直すなら標準光源ボックスを選ぶ際の検討項目、入荷時の記録が足りなければ受入検査の進め方も参考になります。この記事の表と手順は編集部の提案です。自社の承認済み基準へ結び、次の担当が履歴と実物を追える記録にしていきましょう。

参照した一次資料

タイトルとURLをコピーしました