シルクスクリーン印刷のピンホールを確認する方法|位置・工程・現物をそろえる

シルクスクリーン印刷のベタ面に小さな抜けが見つかっても、写真だけでは、穴なのか、異物や光の反射に関わる見え方なのかを区別できないことがあります。まずは見える位置、見つかった工程、観察した条件をそろえて伝えましょう。現物を所定の方法で識別して残すと、次の担当者も同じ場所から調べられます。記録を仕上げる前に、職場で定めた保留や連絡も進めてください。

対象は、プラスチック・金属部品のベタ印刷です。ベタ印刷とは一定の面をインキで覆う印刷のことで、ここではその面に見える点状の抜けを扱います。文字が欠けた場合の観察とは分け、どの場所にどのように見えるかを共有するための記録として使ってください。

比較する順序

①現物と見る向きを決める → ②所定の照明で位置を比べる → ③印刷直後/乾燥後/後工程の観察を分ける → ④版・材料・インキの記録へ結ぶ

「ピンホールらしい」と「原因が分かった」を分ける

十条ケミカルの技術資料では、インキ皮膜に穴がある場合と、粒子などに関係して光が透過したり光って見えたりする場合を分けて説明しています。似た点に見えても、見ている状態が違えば調べる対象も変わります。そのため、対処の名前を先に決めず、現物を所定の方法で観察した事実から伝えることが出発点になります。十条ケミカル「ピンホールの発生原因と対策」

初報では「右上に明るい点が見える」「同じ位置に小さな凹みが見える」のように、見た内容を書きます。「消泡不足」「ゴミ混入」などは、裏付けが取れるまでは原因の候補です。仮説欄へ分けておけば、後から別の事実が出たときも、最初の印象に引きずられず調べ直せます。

観察方法は、対象の材質と承認された検査手順に合わせます。透明部品で使う透過光の見方を、光を通さない金属部品へそのまま当てはめることはできません。照明・観察方向・拡大の有無をそろえ、画像の明るさなどを変えた場合は加工内容と元画像も残してください。加工後の画像だけを根拠に合否を決めず、所定の観察結果と対応させます。

現物と記録を一組にする

現物へ結ぶ情報具体的な記録記録する目的
製品と向き品番、材料ロット、表裏、基準となる角・穴別の人が同じ位置を見られるようにする
印刷条件の識別作業番号、版番号、図柄データの改訂番号、インキ混合番号使用した組合せへ戻れるようにする
印刷の層1色目/重ね刷り後、各工程の記録どの段階で見えたかを分ける
観察時刻、照明・向き、観察箇所、写真・現物番号見え方の差と品物の差を区別する
範囲観察した個数、現象のある個数、未観察の箱一部の観察を全体の結果へ広げない

上の表の観察記録を写真へ結ぶには、全体写真と近接写真に同じ位置番号を付ける方法があります。近くの写真だけでは、製品のどこを撮ったかが分からなくなるためです。寸法を書く場合も、指定方法による測定値なのか、画像上の見かけなのかを区別します。写真に定規が写っているだけで精密な寸法が得られたとせず、測っていない値は未測定として残しましょう。

位置・時間・工程の3方向から比べる

1.同じ場所に繰り返すかを比べる

複数の対象品を同じ向きに置き、図柄のどの位置に点が見えるかを比べます。同じ場所へ繰り返し現れるなら、版の該当位置を調べる手掛かりにはなりますが、それだけで版の不良とは決まりません。製品表面の形状や治具との位置関係も記録し、同じ位置に見える理由を担当者が比べられるようにします。

2.何かを変えた時刻と対応させる

次に、インキの補充・混合、材料ロット切替、版交換、休止・再開の記録を時刻順に並べます。変更後に見つかっても、変更前の品を検査していなければ、その前から出ていた可能性は残るためです。変更前の未検査範囲も書き、発見時刻だけから発生開始を確定しないようにしましょう。

3.どの工程で初めて観察したかを分ける

さらに、印刷直後、重ね刷り後、乾燥後、梱包前のうち、実際に観察した段階を残します。乾燥後に初めて見たなら「乾燥後に発見」であって、「乾燥後に発生」とはまだいえません。前工程で見ていない品は未観察とし、問題がなかった品に置き換えないようにします。

この3方向で記録を分けると、同じ位置の問題なのか、変更時刻と対応するのか、観察した工程が違うのかを比べられます。ただし、欄を埋めれば原因が自動で決まるものではありません。版・インキ・材料・工程のうち、どの記録から調べ直すかを担当者が選ぶために使います。

架空例:20個中3個に抜けが見つかった

次は、金属製プレートへ黒いベタ面を印刷し、指定の観察方法で20個を調べた架空例です。表では現物ごとの見え方と、まだ判定できていない点を分けています。20個を検査すれば十分という指示や、抜けをどこまで許すかの基準ではありません。実際の検査範囲と判定は所定の条件に従います。

現物見えた状態まだ分からないこと
F-01上辺の基準穴の近くに点状の抜け。写真PH-01穴か、異物に関係する見え方かは未判定
F-02F-01と近い位置に点状の抜け。写真PH-02版の同じ位置との対応は未照合
F-03中央付近に明るい点。写真PH-03F-01・02と同じ現象かは未判定

全体欄には「観察20個、現象あり3個、同じ作業の未観察品80個を識別保留」と残します。観察範囲の現象あり割合は3÷20=15%ですが、これを作業全体100個の不良率とはできません。まだ観察していない品があり、現象の正体と合否も未判定だからです。また、1個に3点見つかった場合も、現象がある製品は1個です。点の数を製品3個と数えず、それぞれの単位で残します。

対策を試す前に残しておきたいもの

対策で状態を変える前に、現物、未加工の同じ材料、使用した版・インキの番号、作業記録を結んでおきます。インキの保存試料を取る場合は、担当者が容器の適合、表示、保管方法を定めてから扱います。素性の分からない小分けを作らず、処置前と処置後の品も識別してください。何を変えて比べたかを追える状態にするためです。

添加剤や希釈によって見た目が変わっても、接着性など別の性能まで満たしたとは限りません。材料・インキ・設備の資料と承認された範囲に沿って、担当者が試験条件と判定方法を決めます。複数の条件を変えた場合はすべて記録し、どの変更が効いたかを切り分けられなければ、その点も未確定として残しましょう。

相談先は、調べる対象ごとに分けます。版は製版担当、インキや添加剤はメーカー、表面状態は材料・前処理の担当者へつなぎ、合否と保留品の処置は品質責任者が判断します。試験をしたことだけで量産再開や出荷を許可せず、それぞれ所定の承認を受けてください。現物を扱う作業や薬剤の使用も、SDSと職場の安全手順に従います。

次のロットで見る時点と項目を作業票へ戻す

調査を終えたら、分かった原因だけでなく、次回いつ何を見れば気付けるかを作業票へ戻します。例えば材料切替時の表面や、再開時の指定位置を点検する案が考えられますが、採用する項目と適用版は承認を受けてから使います。改善と判断した根拠と対象範囲も残し、試していない製品まで同じ効果があると広げないようにしましょう。

まず今回の現物と写真を同じ番号で結ぶところから進めましょう。撮影条件、発見した時点、割合の集計範囲を担当者間で合わせる方法は、次の記事でも解説しています。関連記事:検査写真の条件をそろえる方法/発見工程と発生工程を分ける記録/検査の分母と集計範囲のそろえ方

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