不良報告を集計するときは、最初に何を1件と数えるかを決めましょう。この記事は、不良内容の明細1件を1行にし、「発生日・工程・不良内容・不良明細ID」の4列を基に集計する方法です。行へ不良内容、値へ明細IDの個数を置くと、内容別の明細件数を比べられます。ただし、報告件数や不良品の個数とは同じではありません。その違いを押さえ、工程や日付の偏りから元の記録へ戻る手順を説明します。
| 状況 | 判断 | 最初の対応 | 続けて調べること |
|---|---|---|---|
| 不良報告を手で数えている | 明細ごとに一覧を作る段階 | 不良内容の明細1件を1行にし、一意の明細IDを付ける | 空白行・結合セル・複数見出しをなくす |
| 件数は出るが工程が分からない | 工程と内容を組み合わせて見る | 行に不良内容、列に工程を置く | 多い交点の明細、現物、作業記録へ戻る |
| 先月より件数が増えた | 件数の増加だけでは品質悪化と断定できない | 発生日を月別に集計し、工程・品番で絞る | 同期間の生産・検査量、入力漏れ、分類変更を調べる |
| 元データ追加後も数字が古い | 参照範囲と更新設定を調べる | 元データ末尾へ追記して集計を更新する | 対象範囲、更新者、更新日時を記録する |
不良内容を集計する前にそろえる4列と点検項目
ピボットテーブルは、一覧の列を行・列・値などへ配置して集計する機能です。同じ列に同じ種類の情報が並ぶことが前提なので、日時や工程、不良内容を一つのセルへまとめないようにします。冒頭の表は、いま困っている場面から着手点を選ぶためのものです。下の4列を基本に、品番や数量を調べたい場合は対応する列も追加します。
| 列名 | 役割 | 記入例 | 入力時の注意 |
|---|---|---|---|
| 発生日 | 日別・年月別の推移を見る | 2025/04/01 | 文字列ではなく日付として入力する |
| 工程 | 定義した工程ごとの偏りを見る | 加工 | 工程表で使う名称へ統一する |
| 不良内容 | 対策対象を分類する | 傷 | 1セルには分類を1つだけ入れる |
| 不良明細ID | 各明細を識別する一意の番号 | D-0001-01 | 空欄にせず、同じIDを重複させない |
| 品番 | 品種による偏りを絞り込む | 部品-A | 品番表記の全角・半角を決める |
| 不良数 | 内容別数量を記す。製品数との重複に注意 | 3 | 数値だけを入力し、単位は入れない |
見出しは1行にし、途中の月名見出しや空白行、結合セルを避け、1セルへ1つの値を入れます。報告1件に傷と汚れがあるなら、内容を2行へ分け、共通の報告IDと、重複しない明細IDを付けましょう。この例では明細2件、報告1件です。同じ製品に両方の不良がある場合、不良品を2個と数えるわけではないことも、入力ルールへ書いておきます。
品質担当者は、対象期間を決めたら下の項目を照合します。日付、担当、修正した列、根拠と理由は、元データとは別の更新記録へ残しましょう。空欄をなくすために推測で入力すると、見栄えのよい集計表でも根拠のない数値になってしまいます。報告者や元資料から判明した内容と、未確定の内容を区別します。
- 見出し行が1行で、列名が途中で変わっていない
- 定義した不良内容の明細1件につき1行で、報告IDと明細IDを区別している
- 明細IDに空欄・重複がなく、工程や内容の未入力件数を把握している
- 発生日が日付として認識され、日付順に並べ替えられる
- 不良内容、工程名、品番の表記が分類表と一致している
5項目のうち不明なものがあれば、元資料へ戻り、集計に使える範囲を決めます。工程や不良内容が不明な行は黙って捨てず、未入力の件数を別に示します。一方、IDが欠けたり重複したりした状態では、明細件数が正しく数えられません。識別を直すか対象外の理由と件数を示し、集計の確定を保留します。修正後に過去の集計値が変わった場合も履歴へ残してください。
表記ゆれを直して不良データを集計可能にする
「傷」「キズ」「きず」が同じ分類を指すなら、統一した列で集計できます。ただし、文字が似ているだけで意味まで同じとは限りません。品質担当者が分類の定義と原記録を照らして対応表を決め、原文列は残したまま「不良内容(統一)」列へ分類結果を入れる方法があります。工程名や品番も同様に、承認された対応に基づいて扱います。
| 項目 | 入力の混在例 | 統一後の記入例 | 分類を判断する人 |
|---|---|---|---|
| 不良内容 | 傷、キズ、きず | 傷 | 品質記録の管理担当者 |
| 工程 | 検査、検査工程、外観検査 | 外観検査 | 工程名を管理する担当者 |
| 品番 | A-01、A-01、a-01 | A-01 | 品番台帳を管理する担当者 |
| 判定できない内容 | 不明、?、空欄 | 未判定 | 原報告と分類を照合する担当者 |
分類は、現場で判別でき、調べる条件を分けられる粒度にします。「その他」「未判定」が多いなら、月次に明細を読み、分類を追加するかを決めましょう。上の表も自動で置き換える辞書ではありません。たとえば「検査」と「外観検査」が同じ工程を指すか、品番の大文字・小文字を区別するかは自社の定義によります。変更日、担当、理由、過去分の扱いを分類表へ残します。
明細IDの個数は、IDが一意で空欄がない場合の「明細件数」です。報告書の数を知りたいなら報告IDを重複なく数え、不良品の数を知りたいなら同じ製品を二重に数えない数量記録を使います。内容別の不良数を足した値は、同じ品の複数不良が重なることがあるため、そのまま廃棄数や不良品数にはできません。入力の選択肢をそろえる方法は、Googleフォームで不良報告を集める作り方|スマホ入力を統一するも参考になります。
不良内容別の件数をピボットテーブルで出す手順
最初は、不良内容別の明細件数を作りましょう。見出しから最終データ行までを対象にし、ピボットテーブルを新しいシートへ作成します。追記を続けるなら、元データ範囲に新しい行が含まれる設計かも調べます。Excelのテーブルを使う場合も、追加行とピボットの参照先が対応しているかを見てから、下の配置へ進みます。
- 行に「不良内容(統一)」を置く
- 値に「不良明細ID」を置く
- 文字列IDを数える個数集計にする。Excelは[個数]、GoogleはCOUNTAを照合する
- 比較したい発生日、品番、工程をフィルターに置く
- 不良明細IDの個数を大きい順に並べ替える
値の集計方法は、自動で選ばれたものをそのまま使わず読み直します。Excelでは文字列IDに[個数]、Googleスプレッドシートでは文字も数えるCOUNTAを指定する方法があります。数値だけを数えるCOUNTと混同しないようにしましょう。いずれも空欄や重複の点検は別です。上位の内容は調査候補であり、件数だけで原因が分かったとは扱いません。
工程別×不良内容で記録の偏りを見る
内容別の件数ができたら、工程を組み合わせます。行を不良内容、列を工程、値を明細IDの個数にすると、交点ごとの明細件数が分かります。工程が多く横長になる場合は、工程を行へ移しても構いません。ただし、検出した工程を記録しているなら、そこが不良を発生させた工程とは限らないため、列の定義を表題や注記へ示します。
品番、担当班、設備番号があれば、条件を絞るフィルターへ置きます。総計は、同じ期間・同じ絞り込み条件の元データ件数と照合しましょう。ある交点が多い場合は、対応する明細を開き、原報告や現物、作業条件へ戻ります。画像を補助資料にする方法は、デジタル顕微鏡の選び方|小さな不良を記録・共有する基準も関連しますが、画像だけで原因まで決めないようにします。
発生日で日別・月別の不良推移を見る
続いて、行へ発生日、値へ明細件数を置き、日別の動きを見ます。件数が少なければ週や月へまとめる方法もあります。ただし、複数年のデータを月名だけでまとめると別の年が混ざるため、年と月を組み合わせましょう。発生日が不明で発見日を使う場合も、日付の意味を混在させず別項目にし、どちらで集計したかを示します。
工程や不良内容を絞ると、増えた期間にどの条件が重なったかを追えます。一方、生産量や検査量が違う月を、件数だけで品質が悪化したと判断することはできません。不良品率を見るなら、同じ品番・工程・期間と対象範囲の、重複のない不良品数と生産数または検査数を対応させます。明細件数を生産数で割る指標を使う場合は「生産数当たりの明細件数」などと明示し、不良品率と分けてください。
目的別に使い分けるピボットテーブルの配置表
下の配置表は、知りたい問いとフィールドの置き方を対応させています。「上位の内容を知りたい」のか「いつ増えたかを追いたい」のかで、行と列を選びましょう。表中の「なし」は、その場所にフィールドを置かない意味です。元データの欠測をゼロや任意の分類へ埋める指示ではありません。比較条件は表題やフィルター表示にも残します。
| 集計目的 | 行 | 列 | 値 | フィルター |
|---|---|---|---|---|
| 件数の多い内容を見る | 不良内容(統一) | なし | 不良明細IDの個数 | 発生日、品番 |
| 工程の偏りを見る | 不良内容(統一) | 工程 | 不良明細IDの個数 | 品番、担当班 |
| 年月別の推移を見る | 発生日(年・月) | なし | 不良明細IDの個数 | 工程、不良内容 |
| 特定条件の日付を追う | 発生日 | 不良内容(統一) | 不良明細IDの個数 | 品番、工程、設備番号 |
明細件数は記録された内容の繰返し、不良品数は重複を除いた対象品の数を見ます。廃棄や手直しの負担を調べるなら、処置が決まった数量や作業時間も別の記録へ照らしましょう。率の分母がない期間は、率を推測せず件数・数量として示します。また、少数でも安全や顧客要求に関わる不良は、件数順位と関係なく所定の対応を優先します。
追加データを反映し週次・月次の検討につなげる
日々の報告は決めた担当が元一覧へ追記し、締め時刻に対象範囲を確定します。Excelは利用している版と設定に合わせて更新し、Googleスプレッドシートでは参照範囲内の変更が反映されることを利用できます。ただし、どちらも範囲外の行が必ず取り込まれるとは限りません。最新行、分類、総計を照合する工程を残しましょう。安全や出荷に関わる異常連絡は、集計の締め時刻まで待ちません。
| 時点 | 担当 | 行うこと | 記録する場所 |
|---|---|---|---|
| 報告受領時 | 記録担当者 | 末尾へ追記し、明細IDの一意性と入力項目を照合する | 不良一覧 |
| 週次 | 品質担当者 | 集計へ反映し、件数上位と工程の偏りを読む | ピボットシート、更新記録 |
| 月次 | 品質担当者と製造責任者 | 年月別推移、未入力件数、対策対象を検討する | 月次検討記録 |
| 分類変更時 | 分類を管理する担当者 | 名称、変更理由、適用開始日、過去分の扱いを決める | 不良分類表 |
更新後は、同じ時点・期間・条件の元データと総計を照らします。更新日、担当、対象期間、絞り込み条件、明細総数、未入力件数を更新記録へ残すと、次の人もどこまで反映したかを追えます。集計結果が後から変わる場合に備え、報告に使用した時点の表と根拠も所定の場所へ保存しましょう。
不良件数が合わないときの点検手順
総計が合わない場合は、その数字を使って対策順位を確定する前に原因を調べます。下の流れで空欄、重複、参照範囲、フィルター、集計方法を分けて点検しましょう。総計が偶然一致していても、重複と欠落が相殺されている場合があるため、IDの点検を省きません。修正は原報告へ基づき、日付と担当、理由を残します。
- 元データで不良明細IDが入った行数を数え、ピボットテーブルの総計と比べる
- 総計が少なければ、ID空欄、フィルター、参照範囲外の追加行、集計方法を調べる
- 総計が多ければ、明細IDの重複や対象期間外の行を調べる。同じ製品の別明細とは区別する
- 値がIDの個数か数量の合計かを調べ、明細件数を数える設定へ合わせる
- 工程・内容の空欄は未入力として示し、黙って除外されていないかを調べる
- 修正後に集計を更新し、再度、元データ件数と総計を照合する
工程や内容の未入力行は、識別できる明細であれば「未入力」として件数を残し、報告者へ照会します。不明なまま除外すると、特定工程の件数が少なく見えるためです。補完できなかった件数は別表示し、工程別・内容別の比較にどの範囲が含まれていないかを説明しましょう。集計に合わせて事実を書き換えないことが前提です。
集計結果から次の品質対策を決める
通常の改善対象は、件数、工程への偏り、発生時期、重複のない数量、処置の負担を見て1つに絞る方法があります。ただし、安全や顧客への影響が大きいものは別に即時対応します。候補を選んだら、品番と日付で明細を絞り、現物や作業記録へ戻りましょう。ピボットテーブルが示すのは記録の偏りであり、原因の証明ではありません。
- 内容別の明細件数から通常の改善候補を選ぶ。重大な不良は別に即時対応する
- 工程別の表で偏りを読む。検出工程と原因工程を混同しない
- 品番と発生日で絞り、原報告と現物へ照らす
- 作業条件、設備の状態、検査記録を照合し、原因の仮説と事実を分ける
- 対策後は分類・工程・期間の長さと生産/検査量をそろえ、同じ定義の件数・数量で比べる
対策前後は、分類、対象品、工程、期間の長さ、生産・検査量の違いをそろえて比較します。分類を変えた場合は、旧分類との対応を示さずに減少したとは結論付けません。設備に関する仮説なら、Googleフォームで設備点検を記録し一覧化する方法も参照し、日付や設備番号で記録を照らす方法があります。時期が重なるだけで原因と決めず、事実と仮説を分けます。
よくある質問
不良内容が「傷」「キズ」などに分かれてしまったデータは、過去分も修正すべきですか?
比較する期間について、分類表に沿う集計用の列を作ります。原文を残し、同じ意味だと判断したものだけ「不良内容(統一)」へ対応させましょう。不明な記載を推測で傷へまとめず、未判定として残します。過去分へ同じ分類を適用できない場合は、比較範囲と限界を示して扱います。
1件の不良報告で複数個が発生した場合、件数と不良数はどちらを集計すればよいですか?
繰り返し記録された内容を見たいなら明細IDの個数、報告書の数なら報告IDの重複を除いた件数、製品の数なら重複のない不良品数を使います。明細件数と内容別数量を併記する場合は、値に2つ置くか別表へ分け、見出しで意味を示してください。ひとつの製品に複数の不良がある場合、内容別数量の総計をそのまま廃棄数にしないようにします。
工程名が未入力の不良報告は、集計から除外してもよいですか?
除外する前に原報告や関連記録へ照らし、工程を特定できるかを調べます。特定できなければ未入力として件数を残し、担当と照会状況を示しましょう。検出工程と発生原因の工程も分けて扱います。名称を埋めただけで発生場所まで確定した、という記録にしないようにしてください。
生産量が月によって違う場合、不良件数の増減をどう判断すればよいですか?
件数の増加自体と、品質の悪化は分けて考えます。同じ品番・工程・期間について、生産や検査の対象範囲と、不良品数の数え方をそろえてから率を比べましょう。分母や重複除外の根拠がない月は、率では比較できないと示します。明細件数を生産数で割った値を使うなら、不良品率とは異なる指標名で報告します。
上位の不良が分かった後、現場では何を調べますか?
上位の数字に対応する明細と原報告、現物を読み、日付、工程、品番を照らします。そのうえで作業条件、設備、材料、検査記録などから仮説を立てます。特定の担当班に多く見えても、生産量や検出条件が違えば比較できない場合があります。担当者の責任を数値だけで決めず、確かめられた事実と次に調べる事項を残してください。
参考にした公式情報
フィールドの配置や更新操作は、以下の公式案内も参照してください。ExcelとGoogleスプレッドシートでは集計方法の名称や更新の仕組みが異なるため、使用するソフトに合わせます。件数を数える設定と、値を足す設定を取り違えないよう、実際の明細へ戻って総計を照合しましょう。
- ピボットテーブルを作成してワークシート データを分析する | Microsoft Support
- ピボットテーブルのデータを更新する | Microsoft Support
- ピボット テーブルを作成、使用する – Google ドキュメント エディタ ヘルプ
この記事は、不良の内容を継続的に見直すための列設計と運用例です。明細を数える方法と、不良品を数える方法を分け、自社の報告様式に合わせて定義してください。報告件数や率を追加する場合も、元記録から再現できる計算にします。
まとめ
最初は、明細1件1行に発生日・工程・不良内容・不良明細IDをそろえ、表記と空欄、重複を点検しましょう。続いて、内容別、工程別×内容、年を分けた月別推移の3表を作り、同じ条件の元データへ総計を照らします。週次や月次には更新記録と未入力、偏りを読み、調査候補から原報告・現物・作業記録へ戻ります。数字が出たことを原因が分かったことと扱わず、次に調べる対象を選ぶために使ってください。

