通い箱を貸し出して回収する台帳の作り方|返却数と使用可能数を分ける

通い箱の貸出、返却、使用可能数を矢印で結ぶ図 生産・品質管理

通い箱は「戻った数」と「次に使える数」を分けて記録する

通い箱を12箱渡して8箱が戻れば、未返却は4箱です。ただし、戻った8箱のうち1箱が破損し、残りは使用できる状態なら、次に使える数へ加えるのは7箱です。「返却8箱」とだけ書くと、貸出先から戻った量と、次の出荷へ回せる量を取り違えます。台帳では、この二つを別の欄へ残しましょう。

まずは貸出1件に番号を付け、返却のたびにその番号へ明細を追加します。貸出残数は返却の実績から求め、受け取った箱の状態は別に管理します。この記事は、自社と取引先を往復する箱を、紙や表計算で追うための記録例です。数値、会社、番号はすべて架空なので、自社で扱う箱と返却の取り決めに合わせて使ってください。

始める前に、箱の種類・所有者・数える単位をそろえる

台帳を作る前に、箱の種類、所有者、数える単位をそろえます。同じ大きさでも、自社所有の箱と顧客から預かった箱は分けます。また、ふたや仕切りまで含む1組なのか、本体だけの1箱なのかによって、返却完了の見方も変わります。下の表のように、返却期限、受取場所、破損時の窓口を双方で決め、合意した条件を記録しておきましょう。

準備する情報架空の登録例条件を合わせる人
箱の区分・所有者BOX-A/自社所有出荷担当と管理担当
数える単位本体1箱。ふたは別に1枚貸出側と受取側
箱の識別方法同型は数量管理、専用箱は個体番号も記録管理担当
返却条件指定置場で受入数を照合後、返却数へ計上双方の窓口
期限と担当9月25日/出荷担当A管理担当

識別の考え方として、物流資材向けの標準であるGRAIも参考になります。GS1 Japanは、資材タイプに加えて任意のシリアル番号を使うことで、個体単位の管理もできると説明しています。同じ種類の数量を数えるのか、特定の1箱を追うのかを、先に分ける考え方です。ただし、本記事の社内番号がGRAIになるわけではなく、台帳を試すためにGS1コードや電子タグの導入を求めるものでもありません。GS1 Japan:GRAIの説明

貸出と返却は、元の1行を消さずに結び付ける

台帳は「貸出の一覧」と「返却の明細」の2つに分けると、分割した返却を残しやすくなります。紙の貸出票に返却欄を追加する方法でも構いません。返却が2回に分かれたら、それぞれの日付、数量、受入担当を残しましょう。最初の記録を上書きせず、下の手順で貸出番号へ結び付けると、合計だけでは分からない途中の動きも追えます。

  1. 出荷担当が貸出番号を作る。注文番号とは別に、箱の移動を識別する番号を付けます。注文へ結び付けて管理する場合は両方を記載します。
  2. 実際に渡した数を記入する。予定12箱に対し実際は10箱なら、貸出数は10箱です。納品伝票や受領控えの番号も残します。
  3. 受入担当が返却ごとに数える。返却日、貸出番号、箱種、受入数、受入担当を記録します。相手の返送連絡だけでは受入完了にしません。
  4. 使用可能・状態判定待ちなどを分ける。破損や異物、付属品不足があるものは、社内の扱いに従って状態と置場を残します。台帳の担当者だけで修理や廃棄を決めません。
  5. 管理担当が貸出残を照合する。貸出数から、その貸出番号に結び付いた受入済み返却数を引きます。期限を過ぎた残数は、窓口へ照会する対象として一覧にします。

架空例:12箱を2回に分けて返してもらう

下の表では、貸出番号L-0910でBOX-Aを12箱渡し、9月18日に8箱、9月22日に4箱を受け取った例を見ます。使用可能数は、この返却分のうち使えると判定された量です。倉庫全体の在庫数ではありません。受け取った数をそのまま使用可能へ加えず、状態の判定を経た数を別に読みましょう。

日付・記録貸出返却受入うち使用可能うち状態判定待ち貸出残
9/10 貸出12箱0箱――12箱
9/18 返却R-010箱8箱7箱1箱・破損の判定待ち4箱
9/22 返却R-020箱4箱4箱0箱0箱
この貸出の合計12箱12箱11箱1箱0箱

合計行は、全12箱が返却済み、そのうち11箱は使用可能、1箱は状態の判定待ちと読みます。破損箱もすでに戻っているので、未返却へ戻してはいけません。そうすると、同じ箱を相手へ再び返すよう求める行き違いにつながります。所有権や弁償、修理費の負担については、数量の台帳だけで決めず、契約や個別の合意を扱う担当者へ分けて相談してください。

例外は勝手に差し引かず、照会先と期限を残す

起きたこと残す内容保留する判断
12箱のはずが13箱戻った受入13箱、照合済み12箱、不明1箱の置場余分な1箱を他の貸出分へ自動充当しない
別の貸出分とまとめて返却された総受入数、相手の返却明細、未照合数量貸出番号への配分が分かるまで完了にしない
箱はあるがふたが不足本体とふたの受入数をそれぞれ記録1組の返却完了条件を取り決めに照らす
相手は返送済みと言っている返送日、送り状番号、照会担当、回答期限自社で受入れを照合する前に返却済みへ変えない

上の表のように、返却の数や対応先が分からないときも、帳尻だけを合わせないようにします。複数の貸出分をまとめて返す取り決めなら、取引先と箱種ごとの残高管理が合う場合もあります。ただし、どの受入れをどの残高へ計上するかは双方で決めます。実際に受け取った数、相手の明細、未照合の数を残し、不明分を別の貸出へ勝手に充当しないでください。

週の終わりに、未返却と次回出荷分を別々に見る

週の終わりには、期限を過ぎた貸出残、返却済みで状態の判定待ちの箱、次の出荷へ使う箱を分けて見ます。倉庫全体の使用可能在庫は、期首の使用可能数へ新たに使えると判定した返却数などを足し、新しい貸出や使用保留などを引いて現物と照合します。上の11箱だけを倉庫全体の在庫として扱わず、返却後に状態が変わった箱も記録してください。

まずは取引先1社、箱種1種類を選び、1週間の貸出と返却をたどってみましょう。どの返却がどの貸出へ戻るか、判定待ちの箱がどこにあるかまで追うと、足りない欄が見えてきます。個体番号を使う例は工具貸出管理表の項目と返却ルール、実際に送り出す前の点検は出荷チェックリストも参考にしてください。

まとめと参照した一次資料

通い箱の台帳は、貸出番号に各回の返却を結び、未返却数と使用可能数を別に読むために使います。数が合わないときは現物と明細へ戻り、不明なものは置き場、照会する人、回答期限を残して保留しましょう。本記事の表と手順は編集部の提案です。取引先との返却条件と自社の使用判定を先に合わせ、その結果を番号で追える形にしてください。

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