同じ不良が繰り返される原因の調べ方と再発防止の進め方

チェックシートと原因の候補を書いた図を見比べる担当者のイラスト 生産・品質管理
不良の現象と発生条件を分け、原因の候補を記録から調べる場面。

同じ不良が繰り返されるときは、その場の所定の停止・隔離・報告を進めたうえで、「何が起きたか」という事実と、「なぜ起きたか」という原因の候補を分けて記録しましょう。見た目や呼び名が同じでも、発生した条件まで同じとは限らないためです。現象と条件をそろえ、不良が生じた工程、見つけた工程、次へ渡った経緯をたどることで、どこを調べ直すかを選べるようにします。

この記事では、再発する不良について、現場にある記録から共通点を調べ、対策後の見直しまでつなぐ方法を説明します。原因を急いで一つに決めるための手順ではありません。次の表から自社の状況を選び、分かっている事実と、これから調べる条件を分けてみてください。

状況最初に行うこと続けて調べること
同じ不良が数回続く不良名を現象ごとに分ける発生工程・検出工程・流出工程をそろえる
原因が人によって違って見える発生条件を時系列で並べる人・設備・材料・方法・測定・環境で共通点を探す
対策したのに再発する暫定処置と恒久対策を分けて記録する対策後の判定方法と結果を見る時期を決める

表では、不良の呼び名をそろえる場面、条件を比較する場面、対策後を見直す場面で、行うことを分けています。対策したのに再発した場合も、前と同じ原因だと決めず、どの条件で再び起きたかへ戻ります。このように事実からたどると、対策を追加する前に調べるべき点を選びやすくなるでしょう。

同じ不良が繰り返されるとき、最初に切り分けるポイント

最初に調べるのは、同じ名前で記録されている不良が、同じ現象を示しているかです。見た目が似ていても、起きた箇所や条件が違えば、別の原因を調べることになります。まず現象ごとに記録を分け、その後に共通する条件があるかを比べましょう。

その際は、不良が生じた発生工程、見つけた検出工程、次工程や出荷側へ渡った経緯を調べる流出工程の三つを分けます。まだ発生工程が分からなければ、見つけた工程を発生した場所と決め付けず、不明なまま残してください。単発か再発かも、名前だけでなく条件の記録から比べます。

  • 発生工程では、いつ・どこで生じたかを記録から調べる
  • 検出工程では、誰が・どの検査で見つけたかを残す
  • 流出工程では、次工程や出荷前まで残った経緯を調べる
  • 単発か再発かは過去の同じ現象の記録を調べ、条件の共通点と相違点も比べる

発生した工程だけを見ていると、検査でなぜ止まらなかったかを調べきれません。一方、見つけた工程だけを見ても、その前にどの加工条件が変わったかは分からない場合があります。三つの記録を並べるのは、この違いを分けて追うためです。不明な箇所があれば、推測でつなげず次に調べる対象として残します。

再発不良の条件を比べる基本の枠組み

条件を比べる際は、人・設備・材料・方法・測定・環境の六つに分け、発生した順に記録を並べます。担当交代や材料の変更など、別の種類の情報を同じ欄へ詰め込むと、何を比べているかが曖昧になるためです。分類は原因を決めるための答えではなく、調べる対象を見落とさないために使いましょう。

先に比べる観点を決め、次に日時と変更内容を対応させます。そのうえで、同じ条件で起きた記録を探すと、気になる箇所を担当者へ具体的に聞けるようになります。以下の流れで、今ある不良票を並べてみてください。

  • 人・設備・材料・方法・測定・環境で分ける
  • 時系列で並べると共通点が見つかる
  • 同じ不良の共通パターンを抽出する

たとえば、設備の名前だけを集めても、材料や治具を変えた時点が分からなければ、同じ条件の比較にはなりません。観点と時系列を組み合わせ、共通していたものと違っていたものの両方を残します。共通点が見つかった場合も、それだけで原因が確定した扱いにはしないようにしましょう。

人・設備・材料・方法・測定・環境で分ける

六つの観点では、担当者の交代、段取りの違い、材料ロットの変化、治具の摩耗、測定基準の違いなどを、記録から調べます。最初から人や設備に原因があると決めると、それ以外の変化を見落とすことがあるためです。何が変わり、何は変わっていないかを並べてください。

書くときは、事実を先に置き、解釈を後に分けます。たとえば架空の記入例なら、「10時台に同じ設備で同じ不良が3件、同じ治具使用時に発生」と残せます。この内容だけで「作業者Aがミスした」とは決められません。日時や設備、治具を比べる材料にして、原因の候補は別に書きましょう。

時系列で並べると共通点が見つかる

時系列の表には、発生日時、品番、ロット、工程、検査結果、暫定処置を並べます。暫定処置とは、原因の結論を待つ間にも、その時点の不具合へ対応するための処置です。記録を発生順に読むと、特定の時間帯、ロット、段取り替え後などに偏りがあるかを調べられます。発生日時が不明なら、判明した日時と区別して残してください。

また、日時だけでなく、その直前に何を変更したかも添えます。材料の切り替え、工具交換、設定変更、作業者交代などが分かれば、変更前後の記録を比べられるためです。ただし、変更の後に起きたというだけで原因とは言い切れないので、その関係を調べる候補として扱いましょう。

同じ不良の共通パターンを抽出する

共通点は、見た目に加えて発生条件を比べて探します。同じキズでも発生工程が違えば、別の原因を調べることになります。逆に、不良の位置や発生タイミングがそろっていれば、設備条件や作業手順にも共通点がないかを優先して調べる材料になります。

この段階の目的は、原因を一度で言い切ることではなく、どの条件から調べるかを絞ることです。共通点が見つからない場合も、分かった範囲と未調査の範囲を残せば、次に集める記録を選べます。対策の優先順位は、その調査結果と結び付けて考えましょう。

原因を調べるシートの作り方

原因を調べるシートは、何を調べて何が分かり、どこが未調査なのかを後から読める形にします。記録の書き方が人によって違うと、原因の候補だけが引き継がれ、その根拠が分からなくなるためです。現象、条件、その場の処置、今後の対策を欄で分けてください。

下表は、その項目を一枚にまとめるための架空の記入例です。原因や対策が実証された事例ではなく、何をどこへ書くかを見るための見本として使います。実際の発生時刻や工程が分からない場合は、不明であることを記入してください。

項目書く内容記入例
不良名起きている状態を現象名で書く穴位置ずれ
発生日時発生した時刻。不明なら発見時刻と分ける2026/09/01 10:20
ロット/品番対象を特定できる番号Lot A-17 / 品番123
発生工程不良が生じた工程穴あけ工程
検出工程見つけた工程最終検査
暫定処置その場で止めた対応該当品隔離、全数検査
原因の候補事実から考えた候補治具位置決めのずれ
恒久対策再発を防ぐために検討する変更位置決めピンの点検追加

この例では、穴あけ工程と最終検査を分け、治具位置決めのずれを原因の候補として書いています。位置決めピンの点検追加も、この例で検討する対策の記入であり、同じ不良名なら採用すべきという意味ではありません。現場の記録から候補を調べ、採用する対策と、その効果をどう判定するかを決めます。

記録先は紙でも共有表でも構いませんが、更新日時と更新者を残せる形にすると経緯を追えます。内容が変わった際は、古い記録を消すだけで済ませず、いつ何を差し替えたかを残しましょう。以前の仮説を見直した理由まで分かれば、再発時にも同じ推測へ戻りにくくなります。

なぜなぜ分析を使うときの注意点

なぜなぜ分析は、「なぜ起きたか」をたどり、原因の候補と根拠を深めるために使います。ただし、決まった回数の答えを埋めるだけでは、推測を重ねて終わる場合があります。回数ではなく、各段階でどの事実が根拠になっているかを見ながら進めましょう。

進める際は、回数にこだわりすぎないこと、事実と推測を分けること、「注意する」で止めないことを意識します。どれも問いを増やすためではなく、次に調べることや、変える対象をはっきりさせるための観点です。

  • 「5回」に固定しない
  • 事実と推測を分けて書く
  • 途中で止まる典型例を避ける

「5回」という回数を満たしていても、途中の答えが推測なら、原因を裏付けたことにはなりません。反対に、少ない問いでも根拠が見つかる場合があります。次の項目では、記録から言えることと、まだ検証することを分けて進める方法を見ていきます。

「5回」に固定しない

五回で必ず終えるものではなく、二回目で管理の抜けが見える場合も、六回目以降で設備保全や教育を調べることになる場合もあります。回数を決めて答えを作るのではなく、途中の仮説に根拠があるかを見てください。記録が足りないなら、その場所で調査へ戻り、分からないことを理由のように書かないようにします。

事実と推測を分けて書く

「たぶん」「おそらく」と考えた内容は、事実欄ではなく仮説の欄へ書きます。事実欄には測定値、調べた時刻、記録番号などを置き、根拠をたどれるようにしましょう。両者を分けておくと、再発した際も、実際に分かっていたことと、まだ確かめていなかった候補を区別できます。

途中で止まる典型例を避ける

「人が注意する」で終わっている場合は、作業者が替わっても同じやり方を使えるかを考えてみてください。注意喚起だけでは、何をどこで見るかが人に任されます。調べた原因に合わせ、手順、治具、条件票、点検方法のどこを変えるかまで決め、作業へ反映できる形にします。

この3点を使って、原因と書いた内容に根拠があるか、次に調べることや変更する箇所が分かるかを読み直します。答えが埋まったことを終わりにせず、調べた結果を元の記録へ戻してから、対策を検討しましょう。

原因の候補を絞る判断フロー

原因の候補を絞るときは、どの条件で起きるか、他の工程や設備でも起きるか、対策後にどう変わるかを比べます。思いついた候補だけを順に対策しても、何が関係したかを判断しにくいためです。現場で実施すると定めた試験や記録の範囲で、次の観点をたどってください。

次の順は、候補を調べるための目安です。条件を変えて比べる場合は、どの条件を変え、何を同じにしたかを記録し、結果の違いを読み取れる形にします。試験の範囲と実施条件は所定の判断を受け、通常の生産中に独断で変更したり、定められた検査を省いたりしないでください。不良率を比べる際も、不良数だけでなく対象とした数量や期間を残し、同じ範囲で比べます。

  • 同じ条件で再現するかを調べる
  • 他工程・他設備・他担当でも起きるかを見る
  • 条件を一つ変えたときの不良率を比べる
  • 対策後に一定期間、再発が止まるかを見る

同じ条件で再現できない場合は、原因がないとも、その候補で確定したとも決められません。複数の条件で起きる場合も、管理の抜けや共通部品などは調べる候補であり、それだけで結論にはできません。どの結果が候補を支え、何がまだ分からないかを分けて残してください。

恒久対策に落とすときの考え方

原因を調べた後は、同じ不具合が起きにくくなるよう、手順や管理の方法へ対策を反映します。検査で見つけて次へ渡さないことと、不良そのものの発生を減らすことは別のためです。その場の流出を止める処置と、発生条件へ働きかける対策を分けて考えましょう。

恒久対策を運用へ移す際は、標準作業、変更管理、教育の三つに分けると、反映する先を選びやすくなります。手順を変えたとしても、その内容が現場へ渡らなければ、以前のやり方が残るためです。

  • 標準作業への反映を先に考える
  • 検査強化だけに頼らない
  • 変更管理と教育をセットで残す

まず手順書や条件表へ何を反映するかを決め、検査で止める部分と発生を減らす部分を分けます。その後、変更した記録と教える内容をそろえ、実際の作業へ移します。このつながりで見ておくと、対策を決めたところと使われるところの間に抜けがないかを調べられます。

標準作業への反映を先に考える

手順書や条件表へ反映する際は、点検する箇所、定められた許容範囲、異常時の止め方まで書きます。個人の注意に任せたままでは、担当者によって見る場所や判断が変わるためです。ここで使う基準は対象の作業で定めたものとし、書類を埋めるために数値や条件を作らないでください。

検査強化だけに頼らない

全数検査や追加検査を行ったことだけで、発生原因を取り除いたとは扱えません。検査で次への流出を止める対応と並行して、発生源をどう変え、どこで早く検出するかを考えます。その場で行う検査や処置を後回しにするという意味ではなく、検査の強化だけを恒久対策の結論にしない考え方です。

変更管理と教育をセットで残す

対策を変えたら、何をいつ変えたかを記録し、関係者へ同じ内容を伝えます。教えたことで終えず、変更後の初回作業では点検する人を決め、手順書どおりに使われているかを見ましょう。記録と現場の動きがずれていれば、その内容を再び手順や教え方へ戻します。

この3点をつなげておくと、再発時に、対策の内容を見直すべきか、変更の伝達や実行に抜けがあったかを調べられます。変更した内容を元の記録へ戻し、担当が替わっても適用している手順をたどれるようにしましょう。

再発を止めるための記録と見える化

対応が終わった不良票も、ほかの記録と比べられる形で残します。一件ずつ閉じてしまうと、同じ条件の不良が増えているのか、特定の工程に偏っているのかを後から調べにくくなるためです。記録を集めたうえで、件数と条件の両方から見直しましょう。

記録を比較するには、先に不良票の項目をそろえ、傾向を見てから再発したときの変更履歴へ戻ります。集計した数だけを見ても、対策後にどの条件が変わったかまでは分からないので、元の票をたどれるようにしてください。

  • 不良票は項目をそろえて集める
  • 傾向はパレート図や一覧で比べる
  • 再発履歴は「いつ・何を変えたか」を残す

不良票の書式をそろえるのは、項目を埋めるためだけではありません。同じ現象や工程を比べ、件数の多いものを探した後で、その時期に何を変えたかへ戻るためです。以下のように、票の内容と集計と変更履歴を対応させます。

不良票は項目をそろえて集める

不良票には、不良名、発生工程、検出工程、ロット、暫定処置、恒久対策、調べた結果を同じ項目で残します。票ごとに名前や記録の範囲が違うと、同じものを数えているかが分からないためです。まだ不明な項目も空欄の理由が分かる形にし、分かった事実と混ぜないようにしましょう。

傾向はパレート図や一覧で比べる

件数の傾向は、多い順に並べる一覧やパレート図で見られます。ただし、件数が多いことだけで原因が同じとは決められません。同じ原因候補として比べるなら、発生条件にも共通点があるかを元の票へ戻って調べます。ばらばらの不良に共通する管理上の課題がないかを見るために使いましょう。

再発履歴は「いつ・何を変えたか」を残す

再発履歴には、対策開始日、変更内容、結果を見る期間、判定結果を残します。変更の内容とその後の結果が結び付いていれば、どの条件で再び起きたかをたどれます。ただし、再発がなかった期間だけで効果を言い切らず、実際にどの条件で作業した記録かと合わせて判定してください。

この3点を残しておけば、新しい不良票が出たときも、過去の現象、対策、実施後の結果を比べられます。次の担当者が同じ資料から判断できるよう、集計だけでなく変更した元の記録へ戻れる形を保ちましょう。

記録の抜けを探すチェックリスト

最後に、現象の記録から対策後の判定まで、抜けている箇所を探すリストを示します。新しい不良に使う場合も、まず分かっている項目を記入し、未調査の箇所を見つけるために使ってください。すべてに印が付いたこと自体を、原因が確定した証拠にはしません。

  • 不良は現象名で書いたか
  • 発生工程と検出工程を分けたか
  • ロット、品番、日時を残したか
  • 暫定処置と恒久対策を分けたか
  • 人・設備・材料・方法・測定・環境に分けて記録したか
  • 事実と推測を分けたか
  • 再現条件を調べたか
  • 対策後の判定方法と期間を決めたか
  • 変更内容を記録し、関係者へ共有したか

記入できない項目があれば、何の情報が足りず、誰が調べるかを残します。無理に埋めると、仮説を事実として引き継いでしまうためです。次に調べた結果を同じ記録へ戻し、原因候補と対策の関係を読み直しましょう。

FAQ

同じ不良が続くとき、最初に見るべき項目は何ですか?

不良名、発生工程、検出工程、ロット、日時の五つからそろえると、比較する対象を特定しやすくなります。ただし、発生工程や日時が分からない場合は、見つけた場所や時刻と混同せずに残してください。同じ現象と条件で繰り返しているかを、その記録から調べます。

なぜなぜ分析だけで十分ですか?

なぜなぜ分析だけで結論まで出せるとは限りません。根拠となる記録が足りなければ、問いを重ねても推測が続くためです。現物や記録、実施できる範囲での再現の調査と組み合わせ、分かったことを材料にして分析を進めましょう。

原因が複数あるときはどう調べますか?

発生条件ごとに分け、主な原因の候補と、それを補う要因の候補を別に残します。複数の要因が同時にそろったときだけ起きる可能性もあるためです。早く一つに決めるより、どの組み合わせを調べ、どの結果が得られたかを記録して絞ってください。

検査を強めれば再発防止になりますか?

検査の強化は、見つかった不良を次へ渡さないための対応として考えます。ただし、検査で止めたことと、不良が生じる原因を変えたことは別です。恒久対策を考える際も、発生源へ行う変更と、検査で止める方法を分け、その後の結果をそれぞれ見ます。

恒久対策と暫定対策はどう分ければいいですか?

暫定対策は、その場の流出を止めるなど、今起きている不具合へ対応する処置です。恒久対策は、再発しにくくするために手順や管理の仕組みを変えるものとして分けます。記録も別欄にし、処置を行っただけで恒久対策の効果まで出たと扱わないようにしましょう。

まとめ

同じ不良が続く場合は、現象と発生工程、検出工程、次へ渡った経緯を分けて記録します。人・設備・材料・方法・測定・環境の六つの観点を、日時や変更点と対応させて読むことが出発点です。まずは不良票を並べ、事実として分かることと、まだ原因の候補にとどまることを分けてみましょう。

次に、候補を支える根拠と、まだ調べる条件を決めます。なぜなぜ分析は回数を埋めるために使わず、記録や調査の結果と結び付けてください。対策を採用したら、標準作業、変更管理、教育へ反映し、検査を増やしたことだけで発生原因への対応を終えないようにします。

使い始めた後は、再発件数に加えて、共通する原因候補を持つ記録、対策後の再発、変更後の初回作業の状態を見ます。記録がつながっていれば、再び不良が出たときも、どの条件から調べ直すかを選べます。対策を決めるところで閉じず、その後の結果まで元の不良票へ残していきましょう。

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