受入検査記録表に必要な項目と記入例|追跡できる様式

部品箱とノギスのそばで、札と帳票を持つ人のイラスト 業務テンプレート
届いた品と、検査結果や処置の記録を結ぶイメージ。

受入検査記録表は、届いた品を特定する情報、検査した基準と結果、判定と処置、担当者を結んで残すための様式です。まずは1入荷・1品番・1ロットを単位として、受入日から処置の完了までたどれる欄を作りましょう。この記事では共通14項目と記入例を提案します。自社の承認済み検査基準や取引条件に合わせて使うもので、検査方式や合否を一律に決める表ではありません。

材料、購入部品、外注加工品では調べる対象が違いますが、後から現物と判断理由を追う目的は共通です。納品書の丸印だけでは、どの品を何個調べ、何を根拠に使ってよいと判断したかが残らないことがあります。そこで、識別、検査、判定、処置を分け、保留した品が通常の在庫へ混ざらない運用まで考えます。

状況判断最初の対応次に照合すること
納品書だけで受入している共通14項目から始める1入荷・1品番・1ロットに管理番号を振る納品書、現物、記録表を同じ番号で結ぶ
品目ごとに検査内容が異なる共通表と品目別基準書を分ける記録表には基準書番号・版数を書く測定値を表に書くか別紙にするか決める
不具合処置が口頭で終わる判定を3区分に統一する保留品を識別し、決めた場所へ移す処置担当、完了日、再判定者を残す

受入品・検査結果・判定・処置を1件で追える形にする

後工程で不具合が見つかったときは、受入日や取引先だけでなく、そのロットの検査結果と適用した基準へ戻ります。記録表は、そのための入口です。ただし、表へ保留と書くだけでは現物の使用を止められません。ラベルと置き場、在庫システムの扱いも同じ管理番号で結び、所定の許可が出るまで使用しない状態を保ちます。

基本の記入単位は「1入荷・1品番・1ロット」です。同じ納品書に複数品番やロットがあれば分けて残すと、結果を別の品へ当てはめる誤りを防ぎやすくなります。取引先ロットが付いていない品目は、自社受入番号を現物ラベル、納品書控え、記録表へ共通して付けます。ただし、元ロットが不明な状態を自社番号だけで解消できるわけではなく、求められる追跡条件は発注担当へ照会してください。

結果が少なければ測定値を直接書き、項目が多ければ詳細検査表の番号と判定を残す方法があります。どちらでも、元の測定値と適用基準へ戻れることが条件です。納品書、図面、成績書も番号で結び、表を見た人が資料の保存先までたどれるようにしましょう。

共通様式のたたき台にする14項目

下の14項目は、識別から処置までを追うための共通案です。規格で全社共通に定められた必須様式ではないため、自社が求める項目は追加します。適用外の欄には理由を伴う対象外、未実施の欄には未実施などと残し、空欄の意味を分けてください。入力の負担を減らすために、承認済みの検査や記録を省くものではありません。

区分項目記載内容ない場合に追えないこと
受入・識別1.受入日・管理番号入荷日と自社の受入番号受入時点と資料の結び付き
受入・識別2.取引先仕入先または外注先受入元と問い合わせ先
受入・識別3.品名・品番正式名称と社内の識別番号何を受け入れたか
受入・識別4.注文番号発注書・加工指示書などの番号注文内容との照合先
受入・識別5.図面・仕様書版参照した文書番号と版数適用した基準の特定
受入・識別6.ロット番号取引先ロット、なければ自社番号現物と後工程の追跡
受入・識別7.受入数量荷受け数量と単位納品数の過不足
検査8.検査方式・数量全数・抜取・書類照合と数量・単位検査・照合した範囲
検査9.検査項目・基準検査内容と参照先判定の根拠
検査10.結果測定値、異常内容、別紙番号検査した具体的内容
検査11.添付資料番号納品書控え、写真、成績書の番号関連資料の所在
判定・処置12.判定OK・保留・不合格使用してよいか
判定・処置13.処置・完了日保留場所、返品、再検査と完了日不適合品の行方
判定・責任14.検査者・承認者検査した担当と使用を許可する担当判断と処置の担当

表の注文番号や図面版は、品目ごとの照合資料と対応させます。汎用品でも注文内容や仕様へ戻る情報があるなら、単に対象外とはしません。受入数量、管理番号、検査方式、判定、担当者を結び、検査者と承認者の分担も自社の規程に従います。兼務が認められる場合は同じ担当者を記録しますが、独立した承認が求められる業務を、様式の都合で兼務へ変えないでください。

材料・購入部品・外注加工品の検査を基準書へ結ぶ

共通表へ品目固有の検査をすべて並べると、対象外の欄が増えます。そこで、共通表には参照する検査基準書の番号と版を残し、実際に検査する箇所は品目別の資料へ分ける方法があります。下の対象別の例も、採用する検査を決める一覧ではなく、自社の基準へ漏れなく結ぶための手掛かりとして使いましょう。

  • 材料は、材質・規格、寸法、数量、表面状態、試験成績書などを基準に従って照合します。使った資料の名前に加え、番号と保存先を残します。
  • 購入部品は、品番・型式、数量、外観、包装状態、付属品などを基準に従って調べます。似た品番は、現物ラベルと発注情報を照合した結果も残します。
  • 外注加工品は、加工指示番号、支給材ロット、図面版、加工後数量、寸法・外観などを基準に従って調べます。支給時のロットと戻り品を結び、混ざった範囲があれば不明のまま照会します。

品目別の基準には、検査箇所、判定基準、方式、測定具、結果の保存先を定めます。さらに、変更を承認する担当者と、変更日・版の残し方を合わせてください。口頭指示だけで基準を変えると、同じ品番でも結果を比較できなくなります。変更を適用したロットや時点も残し、以前の記録に使った基準を上書きしないようにします。

検査方式・数量・判定基準を分けて残す

検査の範囲は「検査済み」だけで済ませず、全数・抜取・書類照合などの方式と数量、単位を残します。下の記入例は方式の書き分けです。抜取数や項目は受入担当がその場で決めず、承認済みの品目別基準書や発注時の取り決めに従います。複数の方式を組み合わせる場合も、それぞれで調べた範囲を分けましょう。

  • 全数検査の記入例:「全数・20個。外観、品番ラベル、数量を照合」
  • 抜取検査の記入例:「抜取・5個/受入50個。基準書KI-014 rev.2の寸法A・外観を検査」
  • 書類照合の記入例:「書類照合・1式。納品書と成績書CS-018を注文番号PO-025と照合」

結果には、合否に加えて照合した内容を残します。例えば「外観異常なし、寸法Aは別紙DI-103参照」と書けば、後から寸法の実測値へ戻れます。ただし、どの外観基準を用いたかも併せて分かる形にしてください。写真がある場合は、現物の管理番号と写真番号、保存先を結び、画像だけが切り離されないようにします。

判定に使える基準がない、版が不明といった品目は、受入担当だけでOKにしません。管理番号を付けて使用を保留し、定められた場所で識別します。その後は品質・発注の責任者が仕様と取り決めを照合し、承認された基準に基づいて再判定します。受入れた品に合うよう後から基準を緩めるのではなく、基準の承認と品物の判定を別に残してください。

OK・保留・不合格から、現物の処置へつなげる

この様式では、OK・保留・不合格の3区分を使います。OKは適用した検査と所定の承認を満たして使用へ進める状態、保留は判断や処置が残り使用を許可していない状態、不合格は不適合を判定した状態です。自社に別の区分がある場合は意味を対応させます。判定名だけでなく、現物の置き場と次の担当へ結び付けることが要点です。

  • 検査結果と所定の承認を満たした場合は「OK」とし、保管棚または在庫登録先を処置欄へ記入します。
  • 基準の照合待ち、数量差異、外観異常の疑いがある場合は「保留」とし、保留札、置き場、判定依頼先、予定日を残します。
  • 不適合と判定した場合は「不合格」とし、隔離後に承認された返品、選別、再加工などの処置、取引先への連絡日と担当を残します。

保留・不合格は、採用した処置の完了条件を満たした時点で閉じます。「返品予定」だけで終えず、返品発送日、再検査日、廃棄の実施日など、行った事実と根拠を追記しましょう。相手の受領までを完了条件にしている場合は、その記録も含めます。担当者は現物の移動先と数量を照合し、残品や未完了の処置がないかを見てから、完了日と記名を残します。

受入検査記録表の記入例:外注加工品と購入部品

以下は、外注加工品を保留する場合と、購入部品をOKにする場合の架空例です。数量や検査方法は書き方を説明する仮定で、推奨する抜取数や合否基準ではありません。自社の注文書、図面、基準書の番号体系へ置き換え、結果から元資料へ戻れるかを読み取ってください。

外注加工品を保留にする記入例

項目記入例
受入日・管理番号20XX年X月X日/UI-20XX-041
取引先・品名・品番外注先A/加工部品/CP-120
注文番号・図面版・支給材ロット加工指示GI-028/図面DR-120 rev.3/支給材SL-077
受入数量・ロット30個/外注先ロットL-15
検査方式・検査項目抜取・5個/基準書KI-120 rev.1の外観、主要寸法A
結果・添付資料外観に傷の疑い1個。寸法Aは詳細検査表DI-041参照/写真PH-041-1
判定・処置保留/保留棚B-2へ移動。品質担当へ判定を依頼。再判定予定:20XX年X月X日
検査者・承認者検査者:担当者記号/承認者:使用許可を判断した時点で記入

購入部品をOKにする記入例

項目記入例
受入日・管理番号20XX年X月X日/UI-20XX-042
取引先・品名・品番仕入先B/購入部品/PB-045
注文番号・図面・ロット注文PO-031/仕様書SP-045 rev.1/ロットなしのため管理番号UI-20XX-042を使用
受入数量100個
検査方式・検査項目全数・100個/納品書との品番・数量照合、包装状態、外観、付属品
結果・添付資料品番・数量一致、包装破れなし、外観異常なし、付属品あり/納品書控えDN-042、成績書は対象外
判定・処置OK/部品棚C-1へ移動
検査者・承認者検査者:担当者記号/承認者:担当者記号

外注加工品の例は、30個のうち5個を検査し、傷の疑い1個があったため処置を保留しています。全30個の不合格が確定した意味ではありません。一方、購入部品の例は100個を全数検査し、記載した基準に適合したという仮定です。二つの例を比べ、対象数量、検査範囲、未完了の判断、置き場が分かれているかを見ましょう。自社の品目で初めて読む人にも、同じつながりをたどれる記録を目指します。

紙・表計算・フォームでも、管理番号と判定の意味をそろえる

紙、表計算、入力フォームのどれでも、管理番号と判定・処置の意味を先に決めます。見た目をそろえるだけでは、現物を使ってよいかは伝わりません。下の方法を選ぶ際は、ラベルと記録を結べるか、未完了の保留品を担当者が見つけられるかを基準にするとよいでしょう。媒体を替えた後も、同じ番号と判定の意味を引き継ぎます。

  • 紙では、受入記録、納品書控え、保留札へ同じ管理番号を書きます。保留札は現物へ付け、記録表には保留場所を記入します。
  • 表計算シートでは、管理番号、品番、ロット、判定、処置完了日を検索できる列にします。判定はOK・保留・不合格の選択式にすると入力ゆれを抑えられます。
  • 入力フォームでは、写真や成績書の保存場所を決め、ファイル名と保管先番号を添付資料欄へ残します。入力、検索、修正と履歴の残り方を、運用前に試してください。

修正では、元の判定と理由を消さず、追加の検査、再判定日、最終判定、承認者を追記します。誰が何を根拠に変えたかを残すためです。電子表を使う場合も、履歴が自動で十分に保存されるとは決めず、権限と保存方法を実際に試してください。番号の重複を防ぐ設計は、スプレッドシートで連番を自動採番し管理番号を重複させない方法も参考になります。

品番と規格の照合が多ければ、品番マスターを呼び出す方法も候補になります。ただし、検索できたことと、その内容が今回の入荷へ適用できることは別です。正本となる資料と改訂担当を定め、図面版や仕様変更が正しく反映される運用を先に決めましょう。具体例は、バーコードから品番マスターを呼び出す仕組み|照合を簡単にする手順で紹介しています。

自社の様式を使い始める前のチェックリスト

様式を配る前に、実際の受入れから保管、保留、処置の完了まで、記録と現物の動きをたどります。品質担当だけでなく、荷受け、購買・発注、保管の担当者も加わると、どこで記入を引き継ぐかが見えます。下の一覧で役割と元資料を照らし、記録だけが先に完了する箇所を直してから使い始めましょう。

  • 材料・購入部品・外注加工品ごとに、承認済み基準が求める検査項目を結び付けた。
  • 発注書、納品書、図面、仕様書、検査成績書のうち、品目ごとに照合する元資料を決めた。
  • ロット番号または自社管理番号を、現物、納品書控え、受入記録、後工程の記録で追える。
  • 検査方式、数量、項目・基準を、品目別基準書と注文情報からたどれる。
  • 保留品の識別と置き場、判定依頼先、再判定者、処置完了を承認する担当を決めた。
  • 検査項目・基準・様式を変更できる担当者と、変更日・版数の残し方を決めた。
  • 保留・不合格を、処置の完了条件を満たすまで未完了として追う担当を決めた。

見直す順番は、取り違えや不適合の影響が大きい品目から付ける方法があります。ただし、着手の優先順位と、実施する検査の範囲は別です。既存の承認済み検査を省かず、空欄が出る理由や保留が長引く箇所を調べ、責任者の承認を経て様式と担当分担を改訂します。

よくある質問

納品書と受入検査記録表は、両方を保存しますか?

納品書を照合の根拠に使うなら、受入検査記録表と番号で結んで保存するとよいでしょう。納品書には、検査した範囲や保留場所、処置の完了まで残らないことがあるためです。保存方法と期間は、取引条件、社内の品質管理ルール、適用する要求事項に従って担当者が決めます。この記事で一律の年数を設定するものではありません。

ロット番号のない品は、どう現物と記録を結びますか?

受入時に自社管理番号を付け、現物ラベル、記録表、納品書控えへ共通して残します。同一品番が同日に複数回届いても、入荷ごとに区別してください。小分けする場合は、分けた先から元の受入番号と数量をたどれるようにします。ただし、自社番号は元ロットの情報を作り出すものではないため、取引条件でロットが指定されている品は供給元へ照会します。

成績書を受け取ったら、現物検査を省けますか?

成績書を受け取っただけで、現物検査を省く判断はしません。品目の影響度、取引先との合意、承認済み受入基準に従います。品番・ロット・数量が資料と対応するか、包装や外観をどこまで調べるかも事前に定めてください。書類照合だけを採用する場合は、その承認根拠と資料番号を残し、未実施の現物検査を実施済みとは書かないようにします。

保留品を後でOKへ変える場合は、どう記録しますか?

最初の保留と理由を残し、追加で行った検査、再判定日、最終判定、許可した担当者を追記します。紙は追記日と記名を残し、電子記録は元の記載と変更内容をたどれるようにします。判定欄をOKへ変えただけで、現物ラベルや在庫の保留を解除した扱いにはせず、所定の解除手順と対応させてください。

まとめ

受入検査記録表は、届いた品と、検査・判定・処置の経過を結ぶ入口です。まずは共通14項目の例を自社の基準に照らし、1入荷・1品番・1ロットを追える番号を決めましょう。次に、材料・購入部品・外注加工品それぞれの基準書と、保留場所、再判定・承認の担当を対応させます。

運用後は、処置の完了までたどれるか、検査方式と基準の版が残るか、現物ラベルと番号が一致するかを点検します。空欄があるなら項目を消す前に、元資料や担当の受渡しを調べてみてください。自社の要求に沿う形で責任者が変更を承認し、既存の記録も新しい記録も根拠へ戻れる状態を保ちましょう。

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