外注品が届いたら、測る前に、発注内容・納品書・現品が同じ対象を指しているかを照合します。そのうえで、数量、外観、指定された仕様、添付書類を所定の方法で調べましょう。判定できない品や不適合が疑われる品は保留にし、通常在庫や後工程へ渡さず、識別、隔離、記録、担当への連絡までつなげます。購買が荷受けし、品質担当が検査する場合も、各段階の結果を同じ対象へ結び付けます。
| 受入時の状況 | 判断 | 最初の対応 | 続けて照合すること |
|---|---|---|---|
| 発注内容、伝票、現品表示が一致する | 検査へ進む | 発注番号、図番、改訂を記録する | 数量、外観、品目別の指定仕様 |
| 数量差異、ラベル違い、荷姿破損がある | 保留 | 通常品と分け、保留札を付ける | 箱数、現品数、伝票、発注内容 |
| 傷、さび、変形、寸法異常の疑いがある | 保留 | 対象数量と発見箇所を記録する | 図面、判定見本、測定結果、判定者 |
| 適用する図面改訂や要求書類が不明 | 判定未了のまま合格にしない | 使用不可の表示をして回答待ちにする | 対象に適用する承認版、変更記録、ロット |
受入の照合・検査・判定を追い、未了品を区分する
受入検査は、届いた品が発注した要求を満たすかを判定し、使ってよい対象を区別する仕事です。寸法だけを測っても、別品番や適用版の違い、数量不足、要求書類の欠落は拾い切れません。まず何が届き、どの基準を適用するのかを特定することが、その後の測定や判断の土台になります。
作業を三段階に分けるなら、最初は発注と現品の照合、次は所定の検査、最後は判定と処置です。ただし、隔離を最後まで待つわけではありません。入荷時から未検査品を使用可能な在庫と区別し、途中で異常が分かればその時点で保留します。検査と所定の承認を終えた対象だけを、使用可能な状態へ変更してください。
見た目に問題がなさそうでも、図面が見つからない、成績書の対象ロットが分からない、判定者が不在という品は、判定未了です。口頭で大丈夫と言われただけでは通常品へ移しません。何が不足し、誰の判断を待つのかを記録し、使用可能品とは置き場と表示を分けて追いましょう。
受入前に基準資料と役割を決めておく
受入前には、発注番号から基準資料へたどれるようにします。荷物が来てから探す方法では、急ぎの品ほど途中の照合を飛ばしやすくなるためです。紙なら保管場所と資料名、電子データなら共有先と適用版を示し、権限のある担当と代理者が開けるかを試してください。旧版が検索結果に出ても取り違えない管理にします。
- 照合資料:発注書、発注管理表、図面、仕様書、承認済み見本、変更連絡、納品書
- 要求された添付資料:検査成績書、材料の証明、表面処理の記録など
- 荷受け担当:荷姿、伝票、箱数、未検査品の仮置き状態を調べて記録する人
- 検査担当:外観、指定仕様、添付書類を所定の基準で調べ、結果を記録する人
- 判定者・連絡担当:保留解除、不適合処置、仕入先への連絡内容を決める人
少人数で役割を兼ねる場合も、実測した人と判定・解除を行った人、その日時を分けて残します。ただし、顧客指定や社内規程で独立した照合や有資格者の判定を求めている場合は、それを維持します。人数が少ないことだけを理由に兼任可とせず、不在時の代理者と保留中の管理担当まで決めておきましょう。
仕様変更の連絡は、まず依頼なのか、承認済みの変更なのかを区別します。図番、改訂、対象ロット、適用時点、承認者をたどり、承認された条件を発注資料と検査基準へ反映してから判定します。口頭の変更依頼を記録へ反映する方法も参考に、メールや口頭の連絡を受け取ったことだけで、要求が変わったと扱わないようにしてください。
外注品の受入検査を6つの観点から組み立てる
以下の6項目は、受入時の見落としを探す観点です。検査する特性や数量の上限ではなく、品目別の検査基準と顧客・法令・社内の所定要求を対応させて使います。先に品番や版を特定すれば、別の品を測って判断する取り違えを避けられます。基準が食い違う場合は、都合のよい資料を選ばず、責任者へ照会しましょう。
1. 発注内容との照合
仕入先、発注番号、品名、図番、改訂、数量と単位を、発注資料・納品書・現品表示で突き合わせます。納品書が略称でも、承認された対応表や識別番号から同一の対象だとたどれる場合があります。逆に、名前が似ているだけでは同じ品と決められません。対応が不明なら保留し、発注担当や仕入先へ根拠を求めます。
2. 数量と荷姿
数量は現品数に加え、箱数、分納の範囲、過納・不足、異品の混載を調べます。箱の破損や水濡れ、封かんの異常も記録してください。全数を直接数えられない場合は、承認された計数方法と、その根拠を残します。箱の表示入数を掛けた推定と実数を混ぜず、数えた箱や未開封の範囲を示し、数量が確定していない品を確定済みにしないようにします。
3. 現品の識別状態
ロット、製番、材質、左右や表裏、工程状態など、対象を後から追える識別を照合します。複数ロットが一緒に届いたら、数量と検査結果をロットごとに分けてください。箱の札だけで識別している場合は、小分けの際に札と現品の対応が途切れない方法を決めます。識別を失った品を、見た目から推測して払い出さないことが先です。
4. 外観
外観は、傷、打痕、さび、汚れ、バリ、変形、表面処理の状態を、対象に指定された方法で調べます。照明、見る面、距離なども基準に合わせ、担当者が変わっても比較できる条件を使いましょう。許容範囲が不明な箇所は、荷受け担当の印象だけで合格にしません。発見位置と現象を残して保留し、判定者へ渡します。
5. 指定された仕様と寸法
寸法や機能特性は、所定の検査計画で定めた全項目を扱います。組付けや次工程への影響から重点箇所を決める場合も、指定検査を独断で省略しないでください。穴径、ねじ、板厚、曲げ方向、基準面からの寸法、左右勝手など、対象ごとの方法を記録します。測定器の識別、対象への適合、校正・点検と使用状態を照合し、測定箇所、実測値、単位、対象数と抽出方法を残します。
6. 添付書類
要求した成績書、材料の証明、処理記録などは、添付の有無と内容の対応を分けて読みます。品名、図番、改訂、ロット、数量、要求値が現品と結び付かなければ、書類があるだけでは根拠になりません。転記する場合は、検査成績書の転記ミスを減らす照合手順を参考に、元資料と転記先の対応を残し、原本の値を判定に合わせて書き替えないようにします。
全品検査・抜取検査・書類照合の範囲を品目別に決める
全品検査、抜取、書類照合の範囲は、受入の都度都合よく変えず、品目別の検査計画として先に決めます。顧客指定などの要求を満たすことが前提であり、工数削減だけを理由に全品検査を抜取へ変えません。下の表は方法を検討する観点です。初回品や変更後品、過去の不良状況も考慮し、責任者が採用範囲を決めてください。
| 検査・照合方法 | 優先しやすい状況 | 事前に決めること |
|---|---|---|
| 全品検査 | 組付け・機能に直結する特性、少量品、初回品、変更後品、過去に不良があった品 | 所定の特性、検査方法、記録単位、不適合時の保留範囲 |
| 抜取検査 | ロットが明確で、特性と過去の状況から抜取で管理すると決めた品 | ロット、抽出方法、抜取数と判定規則、不合格後の所定処置 |
| 書類照合を採用する特性を決める | 要求が許す範囲で書類を根拠とし、現品との対応を示せる特性 | 対象書類、照合項目、現品で別に検査する項目、書類不足時の保留 |
抜取検査では、ロットの区切り、特性、抽出方法、抜取数、合否条件、不合格後の処置を一緒に決めます。1件の不適合が出た場合も、その場で数を足して合格にするのではなく、所定の計画へ従います。検査の抜取数を決める前にそろえる条件も参照し、追加抜取を認める計画と、再検査や全数選別を別に扱いましょう。
仕入先の成績書を採用する場合も、現品と対象ロット、数量、要求値の対応は受入側で照合します。書類を根拠にできる特性と、現品で検査する特性を検査計画へ明記してください。抜取で合格したことは、ロット内の全品に不良がない保証ではありません。根拠のない一律の測定数や、仕入先ごとの口約束だけで判定条件を変えないようにします。
受入検査チェックシートは判定と処置まで残す
受入シートは、チェック印だけでなく、適用資料、測定箇所と値、判定、未了の理由、保留場所をたどれる形にします。品目別の欄は所定の検査基準に合わせて設け、空欄が未実施なのか対象外なのかを区別してください。共通様式を短くするために要求項目を消さず、別紙を使う場合も同じ案件番号へ結び付けます。
| 記入欄 | 記入例(機械加工品を想定) |
|---|---|
| 案件識別 | 受入日:20XX年X月X日/仕入先:仕入先A/発注番号:PO-001 |
| 照合 | 品名:取付ブロック/図番:AB-120/改訂:C/納品書と現品ラベルを照合 |
| 数量・識別 | 発注数:20個/受入数:20個/ロット:L-01/現品ラベル:あり |
| 外観 | 傷・打痕:全数目視/所定条件下の結果:異常なし/検査者:担当者名 |
| 指定仕様 | 穴径:指定箇所の実測値と単位を記入/タップ:指定の検査方法と結果を記入 |
| 書類 | 検査成績書:あり/対象ロットと要求値の対応:照合済み |
| 判定・処置 | 合格・保留・不適合を記入/処置と再検査、解除の担当・日時・範囲も追う |
上の表は、PO-001、図番AB-120、ロットL-01という架空の記入例です。20個を受け取ったという数量と、検査を終えて使用可能になった数量は、実際の様式では別に追います。測定値、資料の版、実施者、判定者、未了の理由を残し、合格・保留・不適合を区別しましょう。保留番号を現品の札とシートへ共通で記せば、置き場を変えても対象をたどれます。
異常が出たら保留表示をして良品と隔離する
差異や異常が出たら、使用可能な品と混ぜず、所定の保留表示と隔離を行います。記録をすべて書き終えるまで初動を待たせないでください。そのうえで、対象、理由、場所、連絡相手と日時を残します。既に一部を後工程へ渡していた場合は、その数量と行先も調べ、責任者が影響範囲と処置を判断します。
- 荷受け後は未検査品として区分し、発注内容・納品書・現品表示を照合する
- 一致しなければ、または荷姿異常があれば、対象品を保留場所へ移して保留札を付ける
- 対象の一致後に、数量、外観、品目別の指定仕様、要求書類を所定の方法で調べる
- 所定の検査と判定・承認を終えた対象だけを、使用可能な表示と記録へ替えて渡す
- 途中で差異、異常、不明、書類不足が出たら保留し、対象と理由を記録して所定の担当へ連絡する
- 返品や手直し等の処置、再検査と承認条件の充足を記録し、権限者が認めた対象・用途だけ保留を解除する
保留札には品名・図番、ロット、数量、理由、発見日、記入者、処置を決める担当を載せます。発見した不良個数と、影響が未確定で保留する数量は分けてください。発見位置や写真番号の残し方は、検査記録は写真と文章のどちらで残すかも参考にしてください。写真だけで寸法や原因、影響範囲まで決めず、測定と追跡の結果を補います。
急ぎであっても、判定未了品を通常品として払い出しません。例外的な使用を相談する場合は、未了の項目、対象数量、用途、影響を提示し、要求上許されるかを権限のある担当が判断します。顧客等の承認や追跡・回収条件を含む所定の条件が満たされるまでは保留を続け、回答待ちには担当と期限を付けます。自社の都合だけで要求を免除する運用にはしません。
受入不良を次回の発注条件と検査項目へ反映する
受入不良の記録は、発見した事実と次回の検査計画を分けて使います。たとえば穴径の不適合なら、測定箇所と値、対象ロット、不適合個数と影響範囲を残します。その結果から、仕入先の処置や次回の検査範囲を検討してください。まだ調査中の原因を確定扱いし、次の検査項目だけを増やして対応を終えないようにします。
月に一度などの定例では、購買、品質、現場で、仕入先別・品目別の数量差異、外観、寸法、書類不足を振り返ります。個々の異常処置は定例を待たず進め、その記録から発注条件や検査計画の不備を探しましょう。不良の発生工程と発見工程を分けて記録する方法も参照し、受入時に発見した事実だけで外注先の工程に原因があると断定しないことです。
仕入先へは、品名、図番と改訂、ロット、対象数量、現象、写真や測定の記録、求める回答や処置、期限を渡します。次回発注では識別表示、書類、検査する箇所を明記し、相手がその条件で受けることまで追ってください。初回品や変更後品の検査範囲も事前に定め、依頼を送ったことと合意・実施を分けて管理します。
よくある質問
受入では、表示の違い、書類だけがそろう場合、急ぎの使用依頼などで判断が分かれがちです。以下の疑問も、対象の特定、適用基準、権限のある判定者をたどる順番で考えます。分からない点を空欄や合格に変えず、保留理由と照会先を残すことを共通にしてください。
納品書の品名と現品ラベルの表記が少し違う場合、受け入れてよいですか?
略称かもしれないという推測では受け入れません。発注番号、図番、改訂、ロットと承認された対応資料から同一性をたどります。対応表を使うなら発注の正本へ結び付け、誰が判断したかも残しましょう。一致を示せない場合は保留し、発注担当や仕入先へ照会してから所定の検査へ進みます。
検査成績書が添付されていれば、現品の寸法検査は省略できますか?
成績書が付いていることだけでは省略を決めません。まず現品との対応と要求値を照合し、承認された検査計画で、書類に依拠できる特性と受入側が測定する特性を読みます。指定検査があるなら維持し、範囲を変える場合は顧客条件や影響を含む所定の判断を通してください。
外観不良の合否基準が図面にない場合、誰がどのように判定すべきですか?
荷受け担当の印象で合格にせず、所定の判定者へ現物と記録を渡します。用途、組付けや機能、顧客の外観要求を調べ、仕入先だけでなく要求を決める側の判断も得ます。基準が確定するまでは保留し、承認された写真や限度見本、文章の基準を適用版として次回の発注と検査資料へ反映しましょう。
急ぎの外注品で受入検査が終わる前に現場が使いたい場合、どう管理すればよいですか?
急ぎという理由だけでは使用しません。例外が要求上認められるか、権限者が対象・用途・未了項目・影響を判断し、顧客等の承認、識別、追跡や回収、残る検査の時点など所定の条件を満たしてから扱います。記録があれば許可されたという意味ではありません。認められた対象と保留を続ける残数を区別し、使用の許可を出荷の許可へ広げないでください。
仕入先の手直し品を再受入するとき、初回と同じ検査をやり直すべきですか?
手直し内容と影響を評価した再検査計画に従い、不適合箇所だけでなく、処置で影響する特性や所定項目、数量と識別を検査します。仕入先から戻ったことや手直し済みの表示だけで解除しません。初回記録、処置内容、再検査の値と判定、解除した担当・日時・範囲を同じ案件へ結び付け、旧結果も保持します。
まとめ
まず、照合・検査・判定と処置の担当を決め、未検査品と保留品を使用可能な在庫から分けましょう。次に、6項目を品目別の所定基準へ対応させ、測定値と根拠、未了の理由を残せる受入シートを使います。定例では発注条件や検査計画の不備を見直し、変更を相手との合意と現場の適用までつなげてください。届いた品を受け取ることと、その品を使ってよいと判断することを分けると、次工程への渡し方も明確になります。

