機械の停止は、1回につき1行を基本に、開始と復旧の日時、停止分数、計画内外、分類、見えた現象、行った処置を残します。まず6〜8分類ほどのコードを例として使い、停止時間の長いものと回数の多いものを別に見ましょう。ただし、安全な停止や連絡が記入より先です。原因が分からなければ未確定と残し、調査する担当と期限へつなげます。
| 状況 | 判断 | 最初の対応 | 次に照らす内容 |
|---|---|---|---|
| 停止理由が人ごとに異なる | 原因コードを大分類へ統一する | まず既存記録の1週間分から仮分類を作り、足りない条件の記録も加える | その他・未確定に集まる停止は何か |
| 長い停止だけが報告される | 停止時間と回数を別々に集計する | 停止ごとに開始・復旧時刻を残す | 短時間で繰り返す停止が隠れていないか |
| 会議で対策が決まらない | 安全・品質の懸念を先に扱い、他は上位から対象を選ぶ | 調査・対策の担当、期限、効果判定日を決める | 同じコードの回数・時間がどう変わったか |
停止時間を改善テーマに変えるために最初に決める範囲
記録を始める前に、対象設備と集計する停止の範囲を決めます。段取りを含める人と含めない人が混ざれば、同じ条件で比べられないためです。まず課題のある設備や工程を選び、1週間を目安に試します。長い生産周期やまれな異常が含まれなければ、期間を広げて見ます。記録が少ないことだけで、停止が少ない設備とは判断しないようにします。
開始は対象の生産が止まった時点、復旧は所定の安全・品質条件と許可を満たし、通常の生産を再開した時点として定義します。アラームの解除だけでは復旧としません。修理完了、試運転、初品の判定などは別の時点として残し、設備ごとの手順に従います。休憩、終業、計画保全を別枠にする場合も記録は保持し、計画外停止と重なった時間を重複計上しないようにします。
以下は、記録を始める前に担当者間で合わせる範囲の例です。設備ごとの予定時間、段取り、材料待ち、短時間停止をどこへ入れるかを決め、集計表にも定義を書きます。人や日が変わっても同じ範囲を数えるための取り決めです。安全・品質に関わる異常の報告や所定の記録は、停止時間の集計範囲とは別に行ってください。
- 対象設備・対象工程:最初に記録する範囲を設備名または工程名で指定する
- 計画内停止:休憩、終業、計画済みの保全を別枠にするか決める
- 段取り・調整:切替開始から良品生産再開までを対象に含めるか決める
- 材料待ち・品質判定:設備以外の要因を記録し、集計範囲を決める
- 短時間停止:個別記録の下限と一括の方法を決める。異常報告の下限にはしない
個別記録の下限時間は、計測方法と作業条件から決めます。数秒の停止を毎回書けない場合は、同じ現象の回数と停止時間合計を、範囲を区切って残す方法もあります。ただし、観測した時間帯の長さをすべて停止時間にはしません。記録方法を変えた週は、変更日、内容、判断者を注記し、前週との単純な増減で効果を決めないようにします。
1回の停止を1行で残す設備停止記録票の項目
停止直後は、原因を当てるよりも安全に得られる事実を残します。記録票を発生時の欄と、調査後に補う欄へ分けると、推測を確定事項へ書き込まずに済みます。紙や端末は危険箇所へ入らず使える場所に置き、記入できないときの代行も決めます。月末に思い出して埋めるのではなく、その場の記録と後から調べた根拠を結び付けましょう。
| 欄 | 記録する内容 | 記入する時点 | 主な担当 |
|---|---|---|---|
| 基本情報 | 日付、設備名、停止番号、工程・品番、記入者 | 基本欄は作業前、停止情報は安全を確保して記録 | 設備を見ている作業者 |
| 時刻 | 開始・復旧の日時、停止分数。不明と未復旧を区別 | 開始時と復旧時 | 停止を見た人、所定の復旧を判定した人 |
| 分類 | 計画内外、一次原因コード、発生箇所 | 復旧までに分かる範囲 | 作業者または設備支援者 |
| 状況 | 観察した現象、許可された処置、再開条件と判定結果 | 復旧直後 | 処置の実施者と所定の復旧判定者 |
| 改善管理 | 対策の要否、担当、期限、効果判定日 | 緊急性に応じその時点、週次で未了を追う | 班長または改善担当者 |
現象欄には、見えた表示、箇所、止まった動作を書きます。たとえば「供給部の検知表示が点灯し、動作が止まった」なら、観察した内容が伝わります。再現するために材料を押し込むなどの操作はせず、調査や復旧は許可された担当が設備の手順で行います。原因の仮説と判定結果は別欄へ残すと、表示だけから原因を決めた記録と区別できます。
原因コードは大分類から始め、現象と根本原因を分ける
ここで使う一次原因コードは、停止の直接の要因を集計するための仮分類です。根本原因を証明する欄ではありません。下の8分類を出発点に、自社の設備と記録へ合わせて定義します。場所が送り装置だからE、操作盤に表示があるからOという選び方にはせず、根拠が足りなければUへ置きます。コード表は入力場所から参照できるようにしてください。
| コード | 分類 | 選ぶ目安 |
|---|---|---|
| E | 設備・治具 | 機械本体、付属装置、治具の異常・破損・動作不良 |
| M | 材料・前工程 | 材料不足、供給詰まり、前工程の遅れ、受入れ状態 |
| Q | 品質判定・不良 | 不良の発見、判定待ち、異常品対応で生産を止めた |
| S | 段取り・調整 | 品種切替、条件出し、試し加工・試し組立 |
| T | 刃具・消耗品 | 交換、摩耗、破損、補充が直接の停止理由 |
| O | 作業・操作 | 操作待ち、作業手順、引継ぎなどの要因を根拠から分類 |
| P | 指示待ち・生産計画 | 指示、図面、優先順位、出荷判断の待ち |
| U | その他・未確定 | 停止時点で分類できない、またはコードにない事象 |
その他・未確定のUは、推測で別の分類へ押し込まないために使います。調査担当と期限を置き、週次では残った件数と時間を見直しますが、危険な異常の調査や使用停止はその時点で扱います。同じ現象が繰り返される場合は分類の追加を検討し、旧コードとの対応、適用日、判断者を残しましょう。過去分を読み替えるときも元の分類と根拠を消さないようにします。
停止直後から復旧後までの記入手順を現場で固定する
誰が記録するかは、停止を安全に把握できる人を基準に決めます。設備を見る作業者が始点を残し、班長や保全担当が未判明事項を引き継ぐ方法があります。作業者と復旧を判定する人が違う場合は、それぞれの氏名と日時を残します。記入者が決まっていることと、その人が修理や再起動を行う権限を持つことは別に扱ってください。
停止から集計までの流れは下の手順を骨組みにします。ただし、停止直後にすべて書き終える指示ではありません。安全な停止、異常の連絡、所定の処置を先に行い、書ける担当が時刻と事実を記録します。動かしてよいかを記録票だけで判断せず、設備の説明書と安全・品質の再開条件を満たした根拠を添えます。
- 停止発生時:所定の安全な停止・連絡を先に行い、書ける担当が時刻と設備、事実を残す
- 処置中:作業を妨げない担当が、安全に得た箇所・現象と仮分類を残す
- 復旧時:所定条件を満たした根拠と許可、再開日時、処置と判定者を記す
- 原因未判明時:Uコードを選び、調査担当と期限、使用保留等の状態を記す
- 週次:班長や改善担当が記録と集計を照らし、未了の調査・対策を追う
紙から転記するなら、元の記録番号、転記者、日時を対応させます。切替期間に両方へ書く場合も、同じ停止は同じ番号へ結び付け、集計で重ねて足しません。元の記録は所定の保存条件に従い、集計が終わっただけで捨てないようにします。監視していない間に止まった場合は、開始時刻不明と発見時刻を分け、推定した値を実測として埋めないでください。
停止記録票の記入例で表示・材料待ち・短時間停止を書き分ける
下の3例は、記録の書き方を示す架空例で、復旧操作の手順ではありません。送り停止の表示だけでは設備が原因とは決められず、操作盤で再開したことだけでも操作ミスとは断定できません。例の1と3はUとして調査へ回し、2は材料供給が途切れた事実をMへ分類しています。どの場合も、再開条件を満たさなければ未復旧として扱います。
| 項目 | 記入例1:設備の表示で停止 | 記入例2:材料待ち | 記入例3:短時間停止 |
|---|---|---|---|
| 時刻・分数 | 10:15〜10:32、17分 | 13:40〜13:52、12分 | 14:05〜14:06、1分 |
| コード・箇所 | U/送り装置。表示だけではEと断定しない | M/材料供給部 | U/操作盤。再開操作だけではOと断定しない |
| 現象 | 送り停止の表示が出て動作しない | 投入待ちで供給が空になった | 操作盤の画面が表示された状態で生産が止まった |
| 暫定処置 | 保全担当が設備手順に沿った処置と再開条件を記録 | 担当が安全な供給手順と材料・再開条件を照合し処置 | 権限者が表示と停止理由を調べ、所定条件と再開許可を記録 |
| 復旧の判定根拠 | 所定の安全・品質判定後、通常生産の再開を記録 | 材料と所定量の供給、通常生産の再開を記録 | 所定の安全・品質条件を満たし、次の作業開始を記録 |
個別記録なら、短い停止も発生ごとに行を分けます。一括記録にする場合は、観測範囲、実際の停止回数、停止時間合計、まとめた理由を残し、行数を回数として数えないようにします。段取りは定義した範囲をSへ記し、計画内外も別に付けます。品質が関わる停止では、不良の発生工程と発見工程を分けて記録する方法も使い、見つけた場所と原因の所在を混同しません。
週次集計では停止時間と回数を別の順位で見比べる
週次集計は、時間合計と回数を別に並べます。長い停止だけでは頻発する短い停止を見落とし、回数だけでは大きな納期影響が隠れるためです。別の担当が元の記録と集計を照らし、重複、未復旧、時刻不明、一括記録の扱いを点検します。平均は同じ範囲の停止時間合計を実際の停止回数で割り、回数ゼロや時間不明の分類は未算定として分けます。未復旧分は締め時点までの経過を暫定値として分け、復旧済みの平均へ混ぜません。
| 原因コード | 停止回数 | 停止時間合計 | 平均停止時間 | 時間順位 | 回数順位 |
|---|---|---|---|---|---|
| E | 記入値 | 記入値 | 合計停止時間÷実際の停止回数。ゼロ・不明は未算定 | 合計の大きい順 | 回数の多い順 |
| M | 記入値 | 記入値 | 合計停止時間÷実際の停止回数。ゼロ・不明は未算定 | 合計の大きい順 | 回数の多い順 |
| U | 記入値 | 記入値 | 合計停止時間÷実際の停止回数。ゼロ・不明は未算定 | 合計の大きい順 | 回数の多い順 |
上位分類が分かったら、対象設備、品番、時間帯を絞って元の記録へ戻ります。最初から切り口を増やすより、どの条件で止まったかを調べる順を決めるほうが進めやすくなります。週次で対策候補、月次で継続した傾向を見る方法もあります。記録漏れの多い週は不完全と明示し、都合よく除外するのではなく、効果の判定を保留して記録方法を直します。
改善テーマは安全・品質・納期への影響を先に判定する
安全上の懸念や品質流出のおそれは、時間や回数の順位より先に扱います。少ない停止だから見送る、週次会議まで待つという判断にはしません。それ以外は、長時間停止を供給や納期への影響から、頻発停止を繰り返しの負担から検討します。機械の調査と保護方策は、厚生労働省の指針(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb3487&dataType=1&pageNo=1)と機種の使用上の情報に沿って担当者が判断します。
週次会議では、下の順で対象を選び、記録と現場の事実を照らして対策へつなぎます。現象を再現するために無断で動かすのではなく、保全などの担当が安全な調査範囲を決めます。原因が未判明なら、まず調査内容、担当、期限を対策表へ置きましょう。分類の上位にあることだけで原因や対策を確定させないようにします。
- 安全・品質・納期への影響を判定し、該当すれば順位や週次を待たず所定の担当へつなぐ
- 他の対象は停止時間合計の上位から長時間停止を一件選ぶ
- 回数上位に別の繰り返し停止があれば、一件を追加で選ぶ
- 発生条件、箇所、直前の変化、処置後の状態を安全な調査で照合する
- 原因仮説と根拠、調査・対策、担当、期限、効果指標を対策表へ記す
対策を決めるときは、Eの回数やMの停止時間など、前後で同じ意味の指標を選びます。実施日、設備、変更内容に加え、運転の対象時間、生産量、品種などの比較条件を残します。対策の実施完了と効果が認められた状態も分けてください。現場会議の決定事項を実行へつなげる管理方法を使い、効果を見る担当と時期まで追います。
停止記録が続かないときは帳票より運用を見直す
記録が続かない場合は、書く場所、タイミング、コードの迷い、代行、記録を読む人を見直します。停止中に書けない項目を後で補う方法はありますが、所定の安全・品質記録を省くわけではありません。まず時刻と設備、発見者と安全に把握できた現象を仮記録へ残し、補足する担当と期限を決めます。記録のために危険箇所へ近づく運用にしないことが前提です。
次の項目は、週次に記録方法を振り返るための点検例です。書けなかった理由と、書いても使われなかった箇所を担当者から聞き、帳票と役割分担へ戻します。対策の期限超過や未判明の異常は週次だけで追わず、決めた期限で個別に扱ってください。欄を増やす前に、誰がどの記録を使って次の判断をするかを明らかにします。
- 設備ごとに、開始時刻を記入する担当者と不在時の代行者を決めた
- 原因コード表を記録票の近く、または入力時に参照できる場所に置いた
- 未確定コードの調査担当と期限、使用保留等の状態を記した
- 週次集計の曜日、担当、記録を照合する場を決めた
- 対策と効果判定の期限で個別に追い、週次に未了分を見直す扱いにした
- 帳票、コード、記録方法を変更した日と内容を残した
材料、治具、設定条件など、始業前の準備に関わる停止が見つかったら、作業開始前の点検項目|朝一10分で段取り漏れを防ぐ方法も参考になります。ただし、分類が一致しただけで準備不足を原因と決めず、実際の記録と条件を照らします。点検で扱う範囲と保全へ渡す範囲を分け、作業者への注意だけで対策を終えないようにしましょう。
よくある質問
記録を始めると、短い停止のまとめ方、原因未判明の扱い、対策後の比較で迷いが出ます。以下では、数え方と判断を分ける考え方を示します。社内で使う分類や集計範囲を変える場合は、適用日と理由を残し、変更前の数字と何が違うかを説明できる状態にします。
停止が数秒から数分で復旧する場合も、毎回1行ずつ記録したほうがよいですか?
安全に記録できるなら1回1行が基本です。短時間停止の回数を追いやすくなるためです。一括にする場合は、同一現象を数える範囲、実際の回数、停止時間合計、まとめた理由を残します。数え切れない回数や計れない時間は不明と区別し、推測で実測値へ混ぜません。短い停止でも安全や品質に関わる異常の報告は省かないでください。
原因が設備なのか材料なのか判断できない停止は、どのコードで記録すればよいですか?
根拠が足りなければUを選び、見えた表示、場所、材料状態、行った処置を残します。設備の表示が、材料の状態に反応した結果である場合もあるためです。調査する担当と期限を決め、結果に応じて分類と根拠を追記します。分類を決められないことと、使用を続けてよいことは別です。使用可否は所定の権限者が安全・品質の条件から判断します。
複数の原因が重なった停止では、原因コードを複数選択にしてもよいですか?
集計用の主コードを一つにし、他の要因は調査欄へ併記する方法が扱いやすいでしょう。同じ停止時間を複数のコードへ丸ごと加えると、合計が実際より長くなるためです。ただし、コードを一つ選ぶために複合要因を捨てないようにします。停止途中で状態が変わり時間を分ける場合も、同じ停止番号へつなぎ、時間と回数の重複を防ぎます。
対策後の効果は、停止時間と停止回数のどちらで判定すればよいですか?
減らしたい損失に合わせて主指標を先に決めます。長い復旧なら時間、頻発停止なら回数を主にし、もう一方と平均も併せて見ます。ただし、生産量や運転の対象時間が減っただけで停止も減る場合があります。比較期間の品種や負荷、記録方法を照らし、条件が違えばその影響を分けます。保護方策や所定の検査を省いて短縮した時間は、改善の成果として扱いません。
まとめ
まず対象設備と集計範囲、開始・復旧の意味、計画内外、コードを決め、1停止1行を基本に事実を残します。次に、時間と回数を分けて集計し、安全・品質・納期への影響から対策を選びましょう。原因が分からない分は調査へ、対策した分は同じ条件での効果判定へつなげます。復旧を急いで数字を小さくすることより、どの条件で止まり、何を変えたかを根拠付きで追える記録を続けてください。

