発見した月と、手直しに働いた月を分けて集計する
9月に見つけた不良を10月に直したとき、記録全体の日付を10月へ変えると、9月の発見数まで消えてしまいます。反対に、同じ検査行を複写すると検査数や不良数を二度数えるおそれがあります。そこで、不良1件の記録と作業日ごとの明細を分け、同じ不良番号で結ぶ形にしましょう。発見日を保ったまま、どの月に人の時間を使い、何が未完了なのかを追えます。
この記事で扱うのは、品質改善に使う社内集計です。会計上どの月の費用とするかは、この記録例だけで決めるものではありません。以下はすべて架空例で、手直しに伴う再検査も追加工数に含め、通常検査の時間は含めない運用です。まず集計する作業の範囲を決めてから、日付の役割を分けます。
3つの日付に、違う役割を持たせる
| 日付 | 誰が残すか | 何を見るか |
|---|---|---|
| 発見日 | 発見者が最初の記録に残す | その月に見つかった不良の件数・個数 |
| 作業日 | 手直し担当者が作業ごとに残す | その月に実際に使った人の時間 |
| 完了日 | 指定の担当者が判定と処置の完了条件を照合して残す | 処置が完了した件数と、月末に残る未完了 |
表の「発見」は問題に気付いた時点、「作業」は処置のために行動した時点、「完了」は所定の判定と処置の完了条件を満たした時点です。例えば手直しが終わっても再検査や判定が残っていれば、作業日をそのまま完了日にはしません。完了の条件と記入する担当を決め、再検査待ち・判定待ちなどの現在の状態も残してください。
不良率まで出す場合は、検査日と検査ロット番号も別に持ちます。発見日だけで分類すると、過去の検査対象で後から判明した問題まで、当月の検査数で割ってしまうことがあるためです。発見件数はいつ問題に気付いたかを見る指標、不良率は同じ検査対象の個数から計算する指標として分けます。同じ品物に複数の不良がある場合も、不良品の個数を重複させません。
架空例1:9月末に見つかった5個を、10月に直し終える
例では9月29日に100個を検査して5個の不良品が見つかり、不良番号を「Q-001」と付けました。不良記録は1件のまま、発見日9月29日、検査数100個、不良数5個を残します。その後、9月30日から10月2日までに行った作業だけを次の別表へ追加します。作業が増えても、元の検査対象を増やすわけではありません。
| 作業日 | 内容 | 実作業 | 延べ工数 |
|---|---|---|---|
| 9月30日 | 対象品の手直し | 2人が各20分 | 40人・分 |
| 10月1日 | 残る箇所の手直し | 1人が30分 | 30人・分 |
| 10月2日 | 処置後の再検査 | 1人が10分 | 10人・分 |
| 合計 | この不良への追加作業 | 作業明細3行 | 80人・分 |
延べ工数は、作業した人それぞれの時間を足した量です。表では9月が40人・分、10月も40人・分となります。対象5個は10月2日に再検査と所定の処置後の判定まで済み、完了条件を満たしたものとしました。そのため、担当者が完了日を10月2日として残します。実際には、作業明細を入力しただけで完了とせず、判定記録まで照合します。
この記録から、9月末は「発見1件・不良5個・作業40人・分・未完了1件」、10月はこの案件について「新たな発見0件・作業40人・分・完了1件」と読めます。80人・分をすべて完了月へ付けると9月の負担が見えず、すべて発見月へ付けると10月の負担が見えません。どちらの月へ寄せるかではなく、集計したい事実ごとに日付を使い分けることがポイントです。
作業のたびに検査100個・不良5個の行を複写せず、作業明細へ不良番号、作業日、内容、作業者記号、人数・時間、記入者を追加します。人数×時間を使えるのは、対象の人が同じ時間だけ作業した場合です。人ごとに時間が違うなら各人の分数を足し、途中参加や交代も元の明細から追えるようにしましょう。
架空例2:翌月の不良率に、前月の持越しを足さない
次に、10月の初回検査は別ロット200個で、不良品が4個だったとします。この対象に限った不良率は4÷200=2%です。9月発見のQ-001の5個を加えて9÷200=4.5%とすると、分母に含まれない品物を分子へ足すことになります。月が同じというだけで合わせず、どの検査対象から出た不良かを照合してください。
Q-001の再検査5個も、10月の初回検査200個とは検査の目的と対象が異なります。再検査を含む延べ検査数を別に集計することはできますが、初回検査の不良率へ混ぜないようにします。基本の記録は不良率と手直し時間を一緒に記録する方法も参考になります。集計表には、初回だけか再検査を含むかを示しておくと、数字の意味を取り違えにくくなります。
架空例3:月末の未完了は、件数と担当を確かめる
未完了を数える際は、品物の個数ではなく不良番号の件数を使います。案件の統合・分割がなく、月初未完了2件、当月新規発見3件、当月完了4件なら、月末は2+3−4=1件です。ただし、数字が合っているだけで済ませず、残った不良番号と担当を一覧へ出します。作業明細の行数や、不良品の個数をこの件数へ混ぜないようにしましょう。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 不良番号・対象 | Q-005/品番B/対象3個 |
| 発見日・月末状態 | 9月28日/再検査待ち |
| 次にすること | 指定項目の再検査を行い、責任者の判定を受ける |
| 担当・実施予定日 | 品質担当A/10月2日 |
一部だけ処置が終わった案件は、残る対象数と状態を記し、全件完了にはしません。統合・分割があった場合は、元番号と移行先を結び、件数が増減した理由を残します。また、未完了一覧から消えたことと、現品を出荷できることは別です。隔離の解除や品質上の承認、出荷可否は、対象品の所定手順に従って判断してください。
月締めは、原記録を残して5つの順で進める
- 発見者:不良番号を付け、発見日・対象・検査との対応を記入する。
- 作業担当者:作業終了時に、その日の明細を同じ番号で追加する。予定時間は実績と分ける。
- 判定担当:再検査と所定の判断・処置結果を照合し、完了条件を満たした日を記入する。
- 集計担当:発見日別の件数、作業日別の人・分、月末未完了を別々に集計し、元記録と照合する。
- 管理者:未記入の時間をゼロ扱いせず、調べる担当と期限を決める。締め後の訂正は旧集計を保存し、変更理由を残す。
夜勤が月末をまたぐ場合は、暦日で分けるか勤務日でまとめるかを先に決め、開始・終了の元時刻も残します。作業日報にも同じ時間があれば、集計の正本を決めて二度加えないようにしてください。記録項目は再加工記録表の項目と記入例と合わせて考えられます。締め後に訂正する場合も元の集計を保存し、何を直したかが分かる版にして渡します。
自社の有料商品:検査ロットごとの結果を記録する
T05「不良・手直し記録」/2,980円(税込)は、検査ロットを1行で記録し、不良率と延べ工数を計算するExcel商品です。入力用・記入例の2シートと説明書を収録し、各100行までを使います。価格の参照日は2026年10月4日です。ロットの記録を残す用途と、この記事のような作業日別の管理を区別して選んでください。
T05は、作業日ごとの明細や、発見日・作業日・完了日を分けた月次管理を自動では行いません。別表で管理する場合は記録IDで照合し、検査行を作業日ごとに複写しないようにします。まず月またぎの集計を始めたいなら、この記事の作業日別明細と未完了一覧の2表を手持ちの帳票へ加える方法でも進められます。
Windows版Excelでは動作を検査済みですが、Mac版Excel・Googleスプレッドシートは未検証です。集計は「記録済」の行だけが対象で、入力不備・未検査は除外されます。数字を見る際は除外件数と対象行も追ってください。T05は現場計画・改善5点セットと帳票9点セットにも含まれるため、既にセットを持っている場合は収録物を先にご覧ください。

