納期回答履歴表では、受注明細ごとに、変更前後の日付、根拠、社内の判断、得意先への連絡と返答を残します。初回回答、変更提案、保留のたびに行を追加すれば、経緯を上書きせずに追えます。ただし、最も新しい行が、そのまま得意先と合意した納期とは限りません。最新の動きと、現在合意している条件を分けて見られる表にしましょう。
電話の回答は担当者のメモに、変更案はメールに残っている。こうした状態では、引き継いだ人がどの日付を伝えてよいか迷います。この記事では、既存の表計算ソフトで作れる項目と記入例を示し、根拠を調べる段階から連絡後の返答待ちまでをつなぎます。回答日付だけを集めず、何が確定し、何が未了なのかを読める形にしてください。
| 状況 | 判断 | 最初の対応 | 続けて判断すること |
|---|---|---|---|
| 初めて納期を回答する | 初回回答として登録する | 受注明細と希望納期を特定する | 在庫、仕掛、生産、調達の根拠 |
| 社内予定が変わった | 現行の回答納期に影響するか判断する | 対象明細の現在の合意条件と最新の提案を特定する | 変更案の日付、根拠を調べる担当、得意先への連絡時点 |
| 得意先へ変更を連絡した | 変更回答の履歴を残す | 新しい履歴行を追加する | 連絡日時、手段、先方の回答、証跡の保存先 |
| 納期を確定できない | 確約日を登録しない | 保留として次回回答予定を記録する | 未了の項目と担当・期限 |
納期回答履歴表は合意済みの条件と変更の経緯を分けて追う
管理する中心は、社内の生産予定ではなく、得意先へ伝えた納期と、その条件に対する相手の返答です。生産予定が変わっても、社内の日付を直しただけでは対外的な条件は変わりません。また、出荷日と指定場所への到着日でも意味が違うため、どの地点と時点を納期とするかを記します。所要時間や営業日を踏まえ、回答の根拠と対外条件を分けて持ちましょう。
受注番号と受注明細番号を軸にし、同じ受注でも品目、納入先、分納が違えば識別できる番号を付けます。1つの明細へ履歴を重ねる場合は、履歴番号も合わせて行を特定します。新しい案を作っても、前の回答や合意済みの条件を消さないでください。現在の約束を表示する欄は、履歴番号の大きさだけでなく、相手の返答と有効状態を根拠に更新します。
生産予定表は工程を動かすために使い、回答履歴表は対外条件と判断の経緯を追うために使います。工程の細部を二重に転記すると、更新の食い違いが増えやすいため、回答表には参照した資料、版や時点、担当、未確定部分を短く残す方法がよいでしょう。根拠が変わったら対象明細へ結び付け、回答への影響を判断できるようにします。
納期回答履歴表の基本15項目と別列に分ける候補5項目
下の表は、基本15項目と、別列に分ける候補5項目の構成例です。後者は欄の配置を選べる候補で、相手、連絡手段、証拠を記録しなくてよいという意味ではありません。連絡結果欄へまとめる場合も、誰へ何を伝え、どう返答されたかを残します。分納や輸送の条件がある案件では、その日付と数量も追える欄を用意してください。
| 区分 | 項目 | 入力する内容・ルール |
|---|---|---|
| 基本 | 履歴番号 | 同一明細内で連番にする。例:01、02、03 |
| 基本 | 受注番号 | 受注書や受注管理表と一致する番号 |
| 基本 | 受注明細番号 | 同一受注内の品目・納入先を区別する番号 |
| 基本 | 得意先名 | 社内で検索に使う表記へ統一する |
| 基本 | 品番・品名 | 元の注文と照合できる品番・品名を記入する |
| 基本 | 受注数量 | 今回の回答対象となる数量と単位。分納分を区別する |
| 基本 | 得意先希望納期 | 得意先が希望した日付 |
| 基本 | 変更前回答納期 | 初回は「初回」、変更時は前に伝えた納期。合意の状態を別に示す |
| 基本 | 今回回答納期 | 今回提案する、または伝えた納期。出荷日/到着日と合意状態を区別する |
| 基本 | 回答状態 | 初回回答、変更提案、保留、合意、返答待ち、取消し等を社内で定義して選ぶ |
| 基本 | 回答理由区分 | 生産負荷、材料・購入品、設備・品質、仕様・数量変更、得意先都合、その他から選ぶ |
| 基本 | 回答根拠 | 照会先、資料と時点、影響、未了部分、見直し予定を記入する |
| 基本 | 社内の調査・判断担当 | 日程を調べた担当と、承認がある場合の判断者を区別する |
| 基本 | 社内の調査・判断日時 | 調査や判断を行った日時。未了を完了扱いにしない |
| 基本 | 得意先連絡結果 | 連絡日時、手段、相手、伝えた内容、返答、次の期限を記入する |
| 別列候補 | 分納可否・分納案 | 一括納入が難しい場合の数量と日付 |
| 別列候補 | 出荷予定日 | 回答納期の前提となる社内出荷日 |
| 別列候補 | 連絡手段 | 電話、メール、訪問など |
| 別列候補 | 得意先の連絡相手 | 連絡相手の部署・氏名など業務で使う範囲。受領と了承を区別する |
| 別列候補 | 関連メール・帳票の保存先 | 共有フォルダ名、案件フォルダ、ファイル名など |
回答根拠を「調査済み」で終えると、次の担当は何を前提にした日付か分かりません。たとえば「購買担当から不足部品の入荷見込みを聞いた。加工と検査の日程は翌営業日に見直す」と書けば、未確定な部分が分かります。照会先、資料の版や時点、影響、次の担当と期限を記しましょう。根拠資料の保存先も付け、担当者が不在でも内容をたどれるようにします。
記入例:初回回答から変更提案・返答待ちまでの3行
次の3行は、受注番号A-2410、明細01について初回の回答から変更提案までを残す架空例です。日付や担当者は実際の取引実績ではありません。初回も変更後も相手の返答を待っているため、この表だけで合意済みの納期が確定したとは扱いません。連絡前、社内で検討中、相手へ提案済みという違いを、日付と状態の両方で読み分けてください。
| 履歴 | 変更前 | 今回回答 | 状態 | 回答根拠・社内の判断 | 得意先連絡結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 01 | 初回 | 2025/11/20 | 初回回答 | 在庫引当と加工予定を生産管理担当が2025/10/01 10:00に照合。検査日を含めて回答。 | 2025/10/01 11:00、メールで回答。返信待ち。 |
| 02 | 2025/11/20 | 未確定 | 保留 | 設備停止予定の影響を調査中。生産管理担当が代替工程の可否を調べ、2025/10/08までに見直す。 | この記入時点では未連絡。前の回答への影響を調査中。遅延見込みは確定日を待たず連絡する。 |
| 03 | 2025/11/20 | 2025/11/27 | 変更提案・返答待ち | 代替工程では吸収できず、設備復旧後の加工と検査日を算定。生産管理責任者が2025/10/08 15:30に変更案を審査。 | 2025/10/08 16:00、電話で変更案を連絡。先方担当者は社内検討後に返答予定で、了承は未取得。通話記録:案件フォルダ。 |
履歴02は変更日を決められず、今回回答を未確定とした例です。履歴03では11月27日を提案していますが、先方の返答待ちなので、その日を合意済みに更新しません。11月20日は以前に伝えた日付として残し、別の合意記録があるならそちらとの関係も示します。02のように未連絡で検討している間も、約束への遅延が見込まれる場合は、日付の確定を待たず、影響を調査中であることと次回回答時点を連絡します。
回答前は受注・在庫・生産・調達を分けて照合する
受注担当者が現場のすべてを判断するのではなく、受注、在庫と仕掛、生産、調達の4つへ分けて担当者に照会します。どこか一つの日付だけで回答すると、入荷後の加工や検査が抜けるためです。以下の対象を調べ、回答根拠へ担当と時点を残します。判断が終わっていない箇所は未了とし、確約できる範囲と見込みを混ぜないようにしましょう。
- 受注情報:品番、仕様、数量と単位、希望納期、分納条件、受注後の変更を照合する。
- 在庫・仕掛:使用可能な完成品、他案件への引当、保留品、仕掛品の完成見込みを照合する。
- 生産:各工程の着手可能日、負荷、検査、出荷、輸送にかかる日数と営業日を照らす。
- 調達:不足材料、購入品、外注工程の回答納期と未確定部分、代替可否を調べる。
納期を考える前提として、受注番号、明細、品番、数量と単位、希望条件を元の注文と照合します。FAXを扱う場合は、OCRでFAX注文をデータ化する照合手順|誤登録を防ぐ受注処理も参考になります。読み取った情報が正しいかと、その条件を受け付けられるかは別の判断です。未了の項目が納期へ影響する場合は、推測の日付で埋めず、保留の理由と次回回答予定を残します。
外注先の回答待ちは、納入希望日と次の照会日時を分ける
外注先へ希望日を伝えただけでは、その日が相手の回答になったわけではありません。得意先の受注明細と、外注への発注番号・明細番号を結び付け、回答を求めた期限と自社が追跡する時刻を分けます。下の表は9月24日10:05時点で回答期限を過ぎた架空例です。希望日9月25日は未回答のままなので、再照会の担当と、社内へ伝える未確定事項を残します。
| 記録欄 | 記入例 |
|---|---|
| 対象 | 発注O-032/明細01。受注A-032/明細01に関連 |
| 自社が依頼した納入希望日 | 9月25日。外注先の回答は未受領 |
| 回答依頼と期限 | 9月23日10:00に依頼。回答期限は9月24日10:00 |
| 次の照会 | 購買担当が再照会し、9月24日13:00に状況を追跡。不在時は指定の代替担当 |
| 社内へ伝えること | 生産管理担当へ未回答と影響する受注明細を連絡。得意先への現行回答と合意条件への影響を調べる |
再照会しただけで回答済みにはしません。返答を受けた日時、内容、根拠資料を記し、入荷後の工程と検査、出荷や輸送の予定まで照らして得意先へ伝える案を決めます。期限超過時は追跡時刻だけを先へずらさず、未回答の事実、影響する明細、次の担当を引き継ぎましょう。外注の回答を得たことと、得意先が変更に合意したことも別に記録します。
納期変更時は4分岐で記録と連絡を進める
変更要因を知ったら、まず対象明細と現在の回答・合意条件を特定します。根拠が固まっていない段階で新しい日付を確約しない一方、遅延の可能性まで黙って待つ形にはしません。下の4分岐に沿って、調査中であること、次回連絡の時点、提案できる選択肢を分けます。変更日が決まった場合も、自社が提示できる案と相手が了承した条件は区別してください。
- 現行回答に影響しない:変更なしと判断した担当、日時、根拠を残す。
- 影響を調査中:保留の行に未了項目、担当、次回回答予定を記す。遅延見込みを伝える時点も決める。
- 変更案の日付を算定できた:前後の日付、根拠、社内判断を記し、得意先へ提案する。了承までは合意条件を変更しない。
- 納期が未確定で別案を検討する:分納、代替品、数量変更などの条件を記し、相手への提案と返答を別の履歴行で残す。
連絡した後は、その行に日時、手段、相手、伝えた内容、返答と次の対応期限を追記します。電話なら通話直後に記録し、日時や数量を変更する内容はメールなどでも読み合わせる方法を決めておくとよいでしょう。デジタル承認フローを小さく始める手順|紙の回覧を減らすを使う場合も、顧客条件と社内権限に沿って承認対象を決めます。日数が小さいだけで既存の承認を省略せず、社内承認と先方の了承を分けて残します。
表計算ソフトで続けるための入力・更新ルール
受注担当は回答や変更を把握した時点で履歴を追加し、根拠を調べた担当が資料と時刻を記します。得意先へ伝えた人は、連絡直後に結果を同じ案件へ追記します。日付や数量そのものが再び変わる場合は、新しい履歴へ分けてください。入力時刻だけで判断せず、いつ起きた事実をいつ記録したかが分かれば、引継ぎ後も順序をたどれます。急ぐ連絡を記入の都合で遅らせず、並行して記録を残す形にします。
- 受注番号と受注明細番号を別列にし、品名だけで検索・判定しない。
- 日付はYYYY/MM/DD、日時はYYYY/MM/DD hh:mmに統一する。
- 回答状態、回答理由区分、連絡手段は選択肢を用意し、表記揺れを防ぐ。
- 今回回答納期を変更しても、過去の行を書き換えない。
- 最新の動きは「受注番号+明細番号+最大履歴番号」等で抽出する。現在の約束は合意と有効状態で別に抽出し、分納番号も区別する。
- 根拠となるメール、工程表、購買回答は、案件ごとに決めた保存先へ置く。
情報を調べた人、承認した人、入力した人は役割が違います。同じ担当が兼ねる場合も、その立場で行った処理を残しましょう。入力者を別列にするか履歴で追うかは様式に合わせて選べますが、追跡できないままにはしません。証拠を別フォルダーへ保存する場合は、業務データのバックアップ頻度と保存先を決める方法を参考に、表と資料を復元して対応関係をたどれるかも試してください。
運用開始前の納期回答履歴表チェックリスト
配布前には、得意先から問い合わせが来た場面を使い、現在の合意条件、最新の提案、次の返答待ちを別々に答えられるかを試します。受注担当が入力し、生産管理など根拠を持つ担当が読み返しましょう。下の項目では、過去の経緯と未了の作業が取り出せるかを見ます。最大履歴番号を表示できただけで、現在の約束を取り出せたと判断しないでください。
- 受注番号、受注明細番号、履歴番号で行を特定できる。分納があれば分納番号も使う。
- 初回回答、変更提案、合意、保留、返答待ち、取消しを区別できる。
- 変更時に、変更前と変更後の回答納期を比較できる。
- 回答根拠、社内の調査・判断担当、実施日時を残せる。
- 得意先への連絡、受領、了承、返答待ちを判別できる。
- 保留時に、次回回答予定、未了事項、担当を記入できる。
- 関連メールや帳票を後から探せる保存先欄がある。
- 受注明細と分納ごとに、現在の合意条件と最新の提案・保留を別に取り出せる。
週に一度などの見直しでは、保留、返答待ち、変更提案の滞留を比べます。ただし、期限が来た案件は週次を待たず、決めた担当がその時点で追跡します。未連絡件数や次回回答期限の超過件数は、表に記録されていない取引を含まない点にも気を付けましょう。受信メールや担当の未処理メモと突き合わせ、未記入の案件がないかも拾います。
よくある質問
納期回答を電話で伝えた場合、どこまで記録しますか?
日時、連絡した人、先方の相手、対象明細、日付と数量、伝えた条件、先方の反応を残します。電話に出たことや「聞きました」という返答だけでは、変更への合意が取れたとは限りません。社内検討後の返答待ちなら、その状態と期限を記してください。相互に内容を読み合わせるメールなどを残す場合も、送信した記録と先方の返答を別に追います。
得意先が納期変更を了承していない間、回答状態はどうしますか?
「変更提案済み・先方返答待ち」など、合意前と分かる状態にします。元の回答を勝手に取消しにせず、現在合意している条件と、提案中の日付を併記します。了承、別日提案、否認のいずれも対象の数量や分納範囲と一緒に残し、回答がない間は次の連絡担当と期限を決めてください。新しい日付を伝えた事実だけで、現行条件を書き換えない扱いです。
分納で回答した場合、1行にまとめてもよいですか?
納入日や数量が異なる分納は、明細番号を分けるか、分納番号を加えて識別します。1行へ複数の日付と数量を詰め込むと、どの分への返答かが分からなくなるためです。元の受注明細と各分納の数量を対応させ、変更時も合計と残りが合うかを照らします。そのうえで分納ごとに履歴番号を増やし、一部の了承を全数量の合意として扱わないようにします。
生産担当者の予定日と得意先への回答納期が違うとき、どちらを正として管理しますか?
どちらかを消して一つにするのではなく、対外的な合意条件と、その条件を守るための生産予定を別に持ちます。生産予定が先方との納期に間に合わない場合は、根拠を更新して影響する明細を担当へ伝えます。調整案を作る間も、現行の約束が守れる見込みとは言い換えません。変更を提案する場合は、相手の返答が得られるまで両方の条件と未了の対応を追ってください。
まとめ
まずは受注番号、明細番号、履歴番号を軸に、変更前後の日付、回答根拠、社内の判断、連絡と返答を記録する欄を作ります。次に、誰が根拠を調べ、誰が伝え、いつ履歴を追加するかを決めます。過去の回答を残したまま、最新の動きと合意済みの条件を分けて表示できるかを、架空の案件で試してから使い始めましょう。
運用後は、保留、先方の返答待ち、期限超過の案件から次の担当と行動を決めます。表そのものが納期を保証するわけではありませんが、根拠と連絡状況がつながれば、日付だけを推測して答える場面を減らせます。問い合わせのたびに担当者の記憶へ戻るのではなく、どこまで合意し、何を待っているかが読める記録にしていきましょう。

