再加工記録表は、対象品と不良の状態、行った処置、数量、かかった時間、その後の検査と判定をつなぐ帳票です。手直し済みという一言だけでは、何が直り、どの品を次へ進めてよいかが分かりません。この記事では11項目を入口に、現場での記入、再検査、数量の内訳、月次集計を説明します。対象や方法の承認を得てから作業を行い、処置の実施と製品の使用可否を別に追いましょう。
| 状況 | 判断 | 最初の対応 | 次に調べること |
|---|---|---|---|
| 手直しの内容や数量が追えない | 1件ごとの対象と経緯を残す | 基本の11項目を1枚へ対応させる | 製番・工程・不良内容が空欄でないか |
| 短い手直しが頻発する | 個別記録の要求と対象条件からまとめる可否を決める | 不良内容と時間を分類して残す | 対象数と合計時間が分かるか |
| 再加工時間を減らしたい | 実作業と待ち時間を分ける | 開始・終了時刻または実作業時間を記録する | 中断を時間に含める定義があるか |
| 手直し後の品が混ざる | 所定の再検査・判定・解除まで通常品へ戻さない | 再検査結果、判定者と解除条件を残す | 未検査・判断待ちを示す現品表示があるか |
再加工記録表は手直しの事実と損失を結び付けるために使う
記録を残す目的は、手直しの履歴と、改善に使う時間の根拠をたどることです。どの製番で、どの工程の不良を、何個、何分かけて扱ったかが分かれば、同じ作業が繰り返されている場所を探せます。ただし、時間を集計する表を付けただけで製品の処置が完了するわけではなく、再検査と権限者の判定へ対応させます。
日報に時間、不良票に状態、現品札に製番だけがあると、月末に同じ対象を結び直す手間が生じます。そこで1件を識別する再加工の番号を付け、日報、不良票、現品、検査記録を対応させましょう。すべてを同じ欄へ転記しなくても、同じ対象と数量、適用した手順をたどれるなら、元の記録を生かして管理できます。
記録単位は、再加工1件ごとを基本にします。同じ日・製番・工程・不良・方法でも、ロットや承認条件が違えば別に扱います。軽微な連続作業をまとめる場合は、社内や顧客の個別記録の条件を満たしたうえで、対象数、合格数、廃棄と決めた数、保留数、合計時間と元の対象をたどれるようにしてください。
記録が口頭、ホワイトボード、個人メモへ分かれている場合は、正式な記録へ戻す担当と時点を決めます。発生時の記入者、再検査の担当、処置を判断する人、集計担当を分け、保管先も示しましょう。現場のメモが散らばる原因と1本化のまとめ方も参考に、集めた記録から未完了の対象を引き継げるようにします。
再加工記録表に入れる11項目の構成例
次の11項目は、時間と品質の結果を結ぶ構成例です。すべての製品でこの数だけあれば十分という基準ではありません。製番がない仕事は受注番号や作業指示番号などで対象を識別し、ロット、処置の承認、使う手順と判定基準も元の記録へ対応させます。
| 項目 | 記入内容 | 空欄ではたどれなくなること |
|---|---|---|
| 1. 発生日 | 不良発生日と、再加工を行った日時を区別 | いつ集中した問題か |
| 2. 製番・ロット番号または品番 | 対象品を特定する番号 | 生産実績・出荷との照合 |
| 3. 発生工程 | 発見した工程と発生したと判断した工程を区別 | 問題が起きやすい場所 |
| 4. 不良内容 | 傷、寸法、バリなどの分類 | 不良別の件数・時間 |
| 5. 再加工方法 | 承認した研磨、部品交換、組み直し等と手順の参照先 | どの処置に工数がかかるか |
| 6. 再加工対象数 | 手直しに回した個数 | 影響範囲 |
| 7. 良品数・廃棄数・保留数 | 所定の判定後の合格、廃棄決定、保留の内訳 | 回復できた数量と損失 |
| 8. 時間 | 開始・終了、実作業と中断、人数が分かる記録 | 手直し工数 |
| 9. 作業者 | 実施者の氏名または識別記号 | 実際の作業条件を聞く相手 |
| 10. 再検査結果 | 範囲・基準・結果・次の処置と記録番号 | 未検査、判定待ち、判定済みの区別 |
| 11. 検査・判定者 | 再検査と処置の判定・承認を行った担当 | 判定の根拠をたどる先 |
数量は、同じ対象と時点で「対象数=良品数+廃棄数+保留数」と照らせるようにします。ここで良品は所定の判定を終えた数、廃棄数は廃棄の処置が決まった数で、再加工中や判断待ちは保留へ残します。廃棄の実施が残る場合は別に完了を追ってください。事務と現場の数字が合わないときの照合手順と切り分け方も参考に、再加工の回数を製品の実数へ重ねず、対象範囲と計上時点を比べます。
時間を把握したい会社は実作業と中断を分けて記録する
作業を短くしたいなら、手を動かした時間と、材料・設備・判断を待った時間を分けます。短い作業は実作業時間を分で記録し、中断や段取りが多ければ開始・終了と中断の理由・時間も残しましょう。後から終了時刻との差だけで実作業と決め付けず、何を含む時間かを帳票上に示します。
時間欄は月末に思い出して埋めるより、作業の開始・中断・終了に合わせて残す流れを決めるほうが根拠をたどれます。下の役割分担を使い、未記入なら担当へ戻す時点も決めてください。時間が不明な記録はゼロとせず、その状態を残して集計時に区別します。
- 作業者は、再加工を始める時点で製番、対象数、不良内容を記入する。
- 作業者は、終了時に開始・終了時刻または実作業時間を記入する。
- 中断があれば、発生した時点で理由と時間を別欄に記入する。
- 品質担当者または集計担当者は、時間欄の未記入を拾い、担当へ戻してから月次へ集計する。
実作業を見たい場合は待機を別にし、滞留を見たい場合は開始から処置完了までの経過時間も記録します。段取り、検査、待機をどこへ計上するかは目的に合わせて定め、途中で変えるなら適用日と旧条件を残します。月の途中で説明なしに定義を変えると、時間が減ったのか、数え方が変わったのかを判断できません。
人の負荷を見るときは、時計の経過時間と延べ工数を分けます。2人が同時に30分ずつ作業すれば、経過は30分、延べ工数は60人・分(人ごとの作業分数の合計)です。途中で人数が変わるなら区間または人ごとに記録し、単純に全体の人数を掛けないでください。分と0.1時間などの単位は統一し、換算方法も明記します。
不良内容と再加工方法は選択肢をそろえて集計できる形にする
「少し傷あり」「修正した」だけでは、後から同じ状態を探せません。不良の分類と、実際の状態を記す欄を分け、処置方法も承認した手順をたどれる名称にします。細かい分類を増やす前に、どの工程の何を改善するかに使える分け方かを考えましょう。
下の分類は候補であり、そのまま作業方法を許可するものではありません。研磨や部品交換を選ぶ前に、適用できる製品と手順を責任者が判断します。また、再検査、作り直し、廃棄は再加工の方法と同じ意味ではないため、作業内容と、その後の処置区分を分けて記録してください。
- 不良内容の例:寸法、傷・打痕、バリ、組付け、加工漏れ、汚れ、表示・梱包、その他
- 作業方法の候補:部品交換、研磨・バリ取り、洗浄、組み直し。採用は対象と手順の承認に従う。再検査、作り直し、廃棄は別の処置区分で追う
「その他」の場合は具体的な状態を必ず補い、それ以外の分類でも状態を取り違えるなら詳細を書きます。繰り返す内容を別に集計する意味が出たら、分類の追加を検討しましょう。変更日、旧名称との対応、集計への影響を残し、同じ条件で比べられない月には注記を付けます。
再加工後の再検査と判定を残して保留品を区別する
再加工を終えた品は、所定の再検査と判定が済むまで通常品へ戻しません。手直しした箇所に加え、処置で影響する特性を含めた検査範囲を権限のある担当が定めます。結果は「合格」「不合格」「要判断」「未検査」などを区別し、合否と次の処置、判定者を記録してください。作業者が独断で検査範囲を狭めないようにします。
不合格品は、再加工を続けるのか、作り直しや廃棄にするのか、判断待ちかを記します。再検査待ちや保留の品は、表示と保管場所で通常品から区別してください。作業完了時に対象を渡す担当と、検査後に所定の解除条件を満たしたと判定する担当を決め、記録と現物の状態を一緒に更新します。
元の不良記録と再検査を番号で結び付ける
再検査で合格しても、初回の不良記録は消しません。不良番号、再加工番号、再検査番号を対応させ、同じ品物を再び検査したことが分かるようにします。次の架空例では、ロットL-19の100個を初回検査し、そのうち不良3個を手直ししています。
| 記録 | 対象と結果 | 参照する番号 |
|---|---|---|
| 初回検査 I-19 | 100個を検査し、不良3個を発見 | 不良記録 D-19 |
| 再加工 R-19 | D-19の対象3個を手直し | 元の不良 D-19、次の再検査 RI-19 |
| 再検査 RI-19 | 同じ3個を再検査。合格2個、不合格1個 | 不良 D-19、再加工 R-19 |
初回の不良率は3÷100×100=3%のまま残し、再検査後に1%へ置き換えません。再検査の3個は初回100個の一部なので、100+3=103は延べ検査個数であり、異なる製品103個を作ったという意味ではありません。NISTの不適合品割合の定義も、同じ対象集団の不適合品数を総数で割る考え方を示しています。初回、再検査、最終処置の数字を混ぜずに比べてください。
再検査には実施日、担当、適用した基準と測定記録の保存先を添えます。上の例では、不合格の1個は処置が決まるまで保留し、合格した2個とまとめて作業完了扱いにしません。次の処置が決まったら元の不良番号へ追記し、廃棄などの実施が残る場合も、その完了まで追います。
再加工記録表のテンプレートと記入例
次の表は、紙1枚や表計算へ移すための、別の架空の記入例です。番号、数量、時刻は実績ではありません。ここでは対象と承認した処置が対応し、再検査後の不合格品を廃棄へ移す判断まで済んだ場面を示します。状態や方法を選択式にする場合も、候補の選択だけで検査・承認を終えた扱いにしないでください。
| 記入欄 | 記入例 |
|---|---|
| 発生日/製番・品番 | 20XX年X月X日/製番A-001、品番P-10 |
| 工程/不良内容 | 旋盤加工/傷・打痕(外径部に浅い傷) |
| 再加工方法/対象数 | 研磨/3個 |
| 良品数/廃棄数/保留数 | 2個/1個/0個 |
| 開始・終了/実作業時間 | 10:10~10:28/18分 |
| 中断理由・時間 | なし/0分 |
| 作業者 | 作業者記号A |
| 再検査対象/結果 | 外径、外観/2個合格、1個不合格 |
| 不合格品の処置/判定者 | 承認記録に基づき廃棄へ移管、廃棄実施は別に追跡/検査担当者記号B |
「手直し済み」「少し修正」「3個、30分」だけでは、対象や処置、検査範囲が分かりません。例の「外径部の浅い傷を研磨」「外径・外観を再検査」も、どの承認済み手順と基準を使ったかへ結び付けます。研磨してよいという一般の推奨ではありません。複数個をまとめる場合も、対象数、合格数、廃棄数、保留数、合計時間を分けましょう。
全件記録と簡易記録を使い分ける判断手順
短い作業だから記録を省いてよいとは限りません。個別の追跡や顧客の承認が求められる対象は、その条件を先に満たします。下の順番で、詳細記録と日別・ロット別のまとめ記録のどちらが使えるかを決めます。まとめる場合も、対象と処置結果が失われないことが前提です。
- 顧客・社内の取り決めで個別管理する対象は、1件ごとの詳細記録にする。
- 品質特性、機能、外観、数量へ影響する対象は、再検査結果と判定者・根拠まで詳細に残す。
- 同一日・製番・工程・不良・処置で、ロットや承認条件も追える軽微な作業は、要求に従い対象数・内訳・合計時間をまとめる。
- 作り直し、廃棄、保留は、不適合処置の承認・実施や原因調査の記録へ番号で引き継ぐ。
この分け方は、現場責任者と品質・検査の担当が実際の記入例で照合します。あとから粒度を変える場合は、変更日、対象項目、適用開始の製番またはロットを残しましょう。変更前後を同じ条件で比較できなければ、月次表にも注記を付け、件数が減ったことを不良や工数が減った結果と取り違えないようにします。
月1回の集計で影響と再加工時間から改善対象を選ぶ
月1回を例に、工程、不良内容、件数、対象数、再加工時間、主な処置の6列で傾向を見ます。ただし、時間だけで改善の優先順を決めるものではありません。安全、品質、流出や契約への影響を先に扱い、そのうえで実作業や延べ工数が大きい対象を選びます。重大な事象は月次集計を待たずに所定の対応へ進めてください。
| 工程 | 不良内容 | 件数 | 対象数 | 再加工時間 | 主な処置 |
|---|---|---|---|---|---|
| 記入例:加工工程 | 傷・打痕 | 記入 | 記入 | 記入 | 研磨・再検査 |
| 記入例:組立工程 | 組付け | 記入 | 記入 | 記入 | 組み直し |
時間の多い上位1~3件を選んだら、元の詳細から、同じ工程や条件で何が起きたかをたどります。対象数や生産量が増えただけの影響もあるため、合計時間だけで悪化と決め付けません。同じ不良が繰り返される原因を調べて再発防止へ進む方法も参考に、作業者個人を責める材料ではなく、事実と原因の仮説を分けて改善対象を選びましょう。
よくある質問
運用を始めると、どこまでまとめてよいか、待ち時間を何に含めるかで迷うことがあります。担当ごとに変えると比較できなくなるため、以下の考え方を自社の製品条件へ合わせ、帳票と運用メモへ残しておきます。
再加工が5分未満で終わる軽微な手直しも、1件ずつ記録した方がよいですか?
品質特性や外観へ影響する作業、個別に追跡する対象は、時間の長短で記録を簡略化しません。ほかの対象も、同一日・製番・工程・不良・処置などの条件がそろい、社内と顧客の要求を満たす場合にまとめます。原因が分からないものを同じ原因と決め付けず、対象数、内訳、合計時間、再検査と判定の根拠を残してください。
再加工時間に、責任者の判断待ちや設備待ちの時間は含めますか?
人が実際に行った作業の工数を見るなら、判断待ちや設備待ちは別欄にし、作業から離れた時間と担当が拘束されている時間も区別します。滞留を見るなら、開始から所定の処置完了までの経過も残しましょう。集計する時間の定義は帳票へ記し、変更する場合は適用時点と旧条件を残します。
複数人で手直しした場合、作業時間と延べ工数はどちらを残すべきですか?
品物の滞留には経過時間、人員負荷には人ごとの作業時間を合計した延べ工数を使います。人数が途中で変わる仕事は、区間または人ごとの時間を残します。同じ「時間」欄へ混ぜると増減の理由を読めないため、単位と対象を分け、どの値を月次へ集計するかを決めてください。
再加工後に合格した品と、再加工できず廃棄した品は同じ表で管理できますか?
同じ案件で対象をたどれるなら、合格数、廃棄数、保留数と再検査結果、最終処置を同じ表へ残せます。ただし、再加工を繰り返した延べ処理数と、製品の実数を二重に数えないようにします。廃棄や作り直しに別の承認・記録を使う場合は番号を結び、表への記入だけで処置の実施完了にしないでください。
再加工記録表の集計は、どの頻度で誰が行うと続けやすいですか?
発生と作業時間は現場担当、再検査と判定は所定の権限を持つ担当、集計は品質または事務担当という分担が考えられます。日次・週次で記入漏れを拾い、傾向の集計は月1回を例に始めます。未検査・保留の追跡は月末まで待たせず、担当不在時も現物と記録を引き継げるよう、保管先、更新日、代理担当を決めてください。
まとめ
まず11項目を入口に、対象品、不良の状態、承認した処置、数量、時間、再検査と判定をつなぎましょう。次に、作業・中断・経過・延べ工数を分け、記入する時点と担当を決めます。運用後は月1回などの区切りで傾向を読み、安全や品質への影響を優先しながら工数の大きい対象を調べます。記録の集計と、製品の処置を完了させる判断を別に追うことが、改善と対象品の管理を両立させる土台です。

