印刷後の乾燥待ちと梱包可能を分ける管理|こすれ・貼り付きを確認する手順

印刷した部品を梱包してから、こすれや貼り付き、色移りに気付くことがあります。「印刷は終わった」とだけ伝えると、次の担当が梱包まで進められると受け取るかもしれません。そこで、印刷終了、乾燥・硬化後の判定、梱包許可を別々に記録しましょう。待っている品を置き場と表示でも分ければ、どこまで進んだかを現物から読めるようになります。

対象は、シルクスクリーン印刷やパッド印刷を行うプラスチック・金属部品です。乾燥・硬化にかける時間をこの記事で決めるのではなく、インキと製品の承認条件に沿って工程を行い、次へ渡せる状態を伝えます。終了予定の時刻が来たことと、実際に条件を満たしたことを分けるための管理方法です。

状態は3つに分けて表示

印刷終了・乾燥待ち → 所定工程後・判定待ち → 梱包可能〈対象範囲・許可者・日時あり〉

この3つは通常の進行を表す表示例です。色だけに頼らず文字の札とトレー番号を付け、異常や条件不明の品は「保留」として別に扱います。

「乾いた」の一言では、次工程へ渡せない

表面が付きにくく見えても、製品に求める性能まで満たしたとは限りません。メーカー資料にも、指触乾燥と完全乾燥を別項目で示すインキがあります。製品ごとの指定工程と判定方法へ戻り、表面の見た目だけで梱包へ渡さないようにします。工程を終えた記録に、どの基準で判定したかを結ぶことがポイントです。十条ケミカル「APインキ2000シリーズ」

ここでの指触乾燥は、表面の乾き具合を表す用語です。誰でも指で触って試してよい、という指示ではありません。触れることで状態が変わる場合もあるため、判定の担当と方法は製品・インキ・職場の所定手順に従います。

また、乾燥工程だけを追えばよいわけでもありません。十条ケミカルのFAQには、輸送中に印刷面がこすれて色移りする例が示されています。今回の原因をその例と決め付けず、印刷面同士や包装材との接触も調べる対象に入れましょう。どの組合せで包んだかを残すと、乾燥の記録と合わせて比較できます。十条ケミカル「インキの一般的なトラブル対策」

作業開始前に、梱包へ渡す条件を確かめる

決めておくこと照合する資料・担当記録する内容
乾燥・硬化の工程使用インキの資料、承認作業票設備、作業票の版、指定条件と実績
工程後の判定製品の検査標準、品質担当検査項目、方法、時期、判定者
保管中の接触製品とトレーの取扱標準向き、区画、重ね方、印刷面の接触有無
包装承認包装仕様、取引先との合意包装材、入数、向き、仕切り等
引き渡し工程間の運用ルール対象トレー、数量、許可者、日時

上の表では、工程条件に加えて、保管と包装の仕様も引継ぎの対象にしています。「前回と同じ袋」だけでは、包装材の仕様が変わっていてもたどれないためです。印刷品へ触れる材料は品名・仕様番号で照合し、新しい材料や重ね方を採用する場合は、所定の検証と承認を先に行ってください。

待ち時間をトレー単位で管理する

  1. 印刷終了時にトレーへ番号を付けます。製品ロット、作業番号、数量、終了時刻を表示します。同じロットでも終了時刻が異なるものは、追跡できる区切りを残します。
  2. 所定の乾燥・硬化工程を記録します。設備名、工程の開始・終了、作業票で指定された実績を残します。予定時刻を実施済みの時刻として転記しないようにします。
  3. 工程後も、所定の判定が終わるまでは判定待ちとします。所定の試験・外観検査などの結果を記録し、品質担当が判定します。工程終了だけで次へ進めず、許可する対象範囲を残します。
  4. 梱包許可を表示します。許可を受けた対象トレー、数量、許可者、日時が分かる札へ切り替えます。梱包側は札と記録・現物番号を照合してから引き取ります。
  5. 梱包後の箱番号へつなぎます。どのトレーをどの箱へ入れたかを残すと、後から印刷・乾燥の記録へ戻れます。

札の色を使う場合も、「乾燥待ち」「判定待ち」「梱包可能」を文字で併記します。乾燥待ちの置き場を梱包台と兼用すると、札が外れたときに状態を取り違えやすくなるためです。置き場にも番号を付け、現物・札・記録が対応する形にしましょう。札がない、状態が食い違う場合は、近くにある品と同じ扱いにせず保留して照会します。

架空例:印刷200個のうち、梱包へ渡せるのは120個

次は、進捗を分けて伝えるための架空例です。時刻は乾燥条件や待ち時間の基準ではなく、承認された条件に基づいて所定の担当が許可した時点を示しています。トレーごとの状態と、次に進める範囲を読み分けてください。

トレー数量現在の状態次の行動
TR-01~03120個所定の検査・判定済み。14:30に担当Aが梱包を許可箱BX-01~03へ対応付けて引き渡す
TR-0440個所定工程後の判定待ち担当Bによる結果の判定と梱包許可まで進めない
TR-0540個乾燥工程待ち作業票に従って工程を実施する

表から読むと、印刷済み200個=梱包可能120個+判定待ち40個+乾燥待ち40個です。出荷担当へ200個すべて準備済みと伝えると、待ちの80個も進められると誤解されます。今引き渡せる数と、残る品の状態・予定を分けて連絡しましょう。梱包可能になったことも出荷許可とは別であり、その後の所定工程を終えてから出荷へつなぎます。

こすれや貼り付きが出たときに記録をたどる順序

ブロッキングとは、接触した印刷面などが貼り付く現象です。見つけた場合は所定の保留・連絡を行い、無理にはがして状態を変える前に、現物と包装の組合せを残します。発見した箱を識別し、同じ工程や包装条件で扱った範囲を記録からたどってください。同じ条件の品を探すことと、その全品を不良と判定することは別に扱います。

調べるときは、印刷・乾燥・判定・梱包の記録を結び、その後に包装材、印刷面の向き、重なり、運搬・保管条件を照合します。「乾燥不足」と先に決めると、別の条件を見落とすためです。問題が見られなかった時点と、発見した時点を分け、前の段階で見ていなければ未点検と残します。発見が遅かっただけで、発生もその時点だったとは決めません。

追加加熱、再印刷、包装材の変更などを試す場合は、品質担当と材料・インキ・設備の担当者へ相談し、対象と方法の承認を受けます。設定温度を上げるだけで直そうとせず、製品の耐熱条件と安全手順を守ってください。試した結果がよく見えても、処置の完了と保留解除・梱包許可は所定の基準で別に判断します。

印刷の完了と出荷の完了をつなぐ

印刷担当が伝える「何個終わったか」、梱包担当が知りたい「何個受け取れるか」、出荷担当が知りたい「何個出せるか」は、それぞれ対象の状態が違います。共通の作業番号とトレー・箱番号を結び、数と状態を一緒に渡しましょう。まず次の引継ぎで、完了数だけでなく、許可済みの範囲と待ちの範囲を分けて伝えるところから始められます。

後から経緯を調べるには、発見した工程と、詰め替えた箱、出荷品の番号まで結べる記録が役立ちます。それぞれの記録を作る際は、次の記事も参照してください。関連記事:不良の発見工程と発生工程を分ける記録/箱を分け直すときの番号照合/出荷指示へつなぐ照合手順

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